タワマンから見える景色は地獄のような天国な地獄

 キリスト系の保育園に通っていた。
昼寝をしたり、昼ごはんのときになんとかなんとかアーメンと言って食べたりしていたような記憶は朧気にある。
 圧倒的に鮮明に残っている記憶がある。
よく晴れた日にプールで遊んでいる。同じ組の子たちもいる。僕はプールから出て他の子達が遊んでいるのを見ている。なんとなく全身の筋肉に力を入れてみた。すると筋肉が震えだすのだが、全身を震わせているのでそれをみた保育園の先生が、「〇〇くんが寒そうにしてるからプール終わりー」と言ったのだ。「えー」とか「やだー」という声と共に冷たい視線が注がれているような気がした。全く寒くなかったのに、自分の行動のせいで周りの空気が悪くなる(なっていたかもしれない)ということを初めて知った。
 あの空気ほど怖いものはない。
カラオケで自分しか知らない曲は歌えないし、1500円のリゾットを高っ!と声に出せない。こういう日は、今日はいい日だったとは思えない事が多い。

デリバリーのピックアップで居酒屋で待たされている金曜日の夜は地獄だ。でも頑張ったと思える事が多い。

もし大金持ちになったら、あの日の駅前のカラオケやイタリアンレストランに爆弾を落とそうと思う。


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