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銀河超特急

2001年にはあまりにも無機質でアブストラクトに過ぎる印象のあった"Confield"だったが、今の耳にはエキサイティングで比較的ポップな感想を抱いている(最近はリズムさえあればポップだと思ってしまう)。当時、RadioheadのThom YorkeがAutechre好きを公言したせいか、その周辺にいた基本的には愚かでただのミーハーなのだが、自意識の肥大した自己評価の高い連中が角砂糖に群がる蟻のように大挙してやって来た(その中の一人に私もいた。仕方ない。誰でもどこからか始めなければならないのだから)。そんなタイミングでリリースされたこの実験的なサウンドは、秒速340mのスピードで急カーブを曲がる銀河超特急のように、列車にしがみつく連中を振り払い、谷の底へ転げ落としたのだった("Amber"みたいなサウンドであれば、スポイルされた音楽ファンが盲目の亡者のようにこぞって褒め称えただろうに)。そんな彼らは2021年時点でますますアブストラクトで先鋭的なサウンドを煙のようにモクモクと吐き出している。何かが燃えている。その何かは、目を細めてもはっきりと見定めることができない。


音楽と音楽の記憶とそのメモ。