原因不明の風邪により思い出したあの春のこと

久々に"風邪"をひいてしまった

コロナとかインフルエンザとかそういった流行病もある中で
シンプルに風邪を引いた

喉をスマホのライトで照らしてみてみるとぶっくりと腫れていて
そんな腫れを加速するように咳は止まらず
鼻は詰まり口からの呼吸を余儀なくされた私の喉はもういつ爆発してもおかしくない
幸いなのが熱が一切ないこと

風邪を引いた原因はわからないけど
とにかくここ1週間はバタバタしていた
もしそれが最大の理由なのだとしたら己の体の貧弱さに一発ビンタしてやりたい
お前はもっとやれるだろと心の中の星一徹に喝を入れてもらうしかない

今日は自分にとってもとても大切なお仕事があったので
昨日久々に病院に向かった
限界の体に鞭打って自転車を乗り病院に向かって得られたことは「なにかしらの感染症にかかってるようなので明日は仕事を休んでください」ということだった
何かしら?おい!それを知りに来たんだが!なんだよそれ・・・ウチは一体どうしろと言うんだよ・・・
と思いながら薬を受け取ると5種類くらいあるのにお会計が1200円程度で
税を納めていながらもこの安さに少々ビビってしまった

多少元気は余っていたので、その日はお手製の生姜のスープをつくり
たっぷりの湯船に浸かり
23時には目を閉じていた

翌日、つまり本日
体調は一向に良くない
なんならもっとつらい

こんなに労わってやったのにまだ休みたいのか・・とムカつきながら、もう仕方がないのでベッドの上でぼんやりとしていた

西向きの私の部屋に
次第に太陽の光が注いできて
気がついたらもう背の高い建物の裏へ潜りかけている

このまま陽が落ちて辺りが暗くなってしまったらなんだかとても心が滅入るきがしたのでベランダに出た

外の匂いがあまりに春すぎて
硬いローファーにストッキングの足を通した、
あのぎこちない春のことを思い出したりした

そういえば、高校2年生の時同じクラスで出席番号が私の前だった男の子はいつかを境に学校に来なくなった

しばらくして、転校したという話を聞いた

高校一年生の時、初めて彼をみた時、衝撃を受けた
栗色の細い髪に、長いまつ毛と、まっすぐに通った鼻筋、くっきりとした二重で、すらっとした身長
私は5組で彼は4組で、たまに教室の前を通る時に目に映る彼は、本当に美しかった

恋愛的な感情さえも浮かばない、
その人は本当に存在するのか?
いつか、いなくなってしまうんだろうなとなんとなく感じていた

そんな彼と2年で同じクラス、席が前後となり、
話す機会も増えていった
友達もいたようだし、いじめられているようにも思えなかった

彼が学校に来なくなって、クラスの誰1人心当たりがなく戸惑っていた

彼は、唐突に転校してしまった

私も、他の生徒も、何度も先生に彼が転校した理由を聞いてはみたが教えてもらえることはなかった
相当な理由があったんだろうと思う

今はもう彼の顔をはっきり思い出せない

誰も、本当のことは知らない
私のことも、何も知らない
そういう柔く脆い関係が何かをきっかけに強くして

例えば親友だったり
例えば恋人だったり
例えば2人だけの秘密だったり

そういうことになっていくんだろうなと思う

いくつになっても人と関わるのはこわいけど
歳を重ねるたびに人の優しさに敏感になれているような気がしてる


風邪を引いたことで
いつかの春のことを思い出せたので
まあ良かったかなと思う

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