アレに堕ちる瞬間がよくわかる

273番を店員さんが手に取ってからレジに戻るまでのその間

ランドセルを背負った男の子が
チロルチョコをセルフレジで購入しているのを
ぼんやりと眺めていた

下校中にコンビニなんて寄っていいんだ
電子決済を身に付けてるんだ
その一つのチロルチョコはこの子にとってどれほどのものなのか

そんなことを考えているとなぜか酷く胸が騒がしくなってしまった

多分、わたしはそろそろアレに堕ちてく
そのすぐ前段階にいるんだとわかった

こうなると、己がどれだけ頑張ろうと意識を張り巡らそうと
なんの意味も持たない
もう、堕ちるしか選択肢はない

この、アレに堕ちるすぐそばに在るときが一番苦しい
結局堕ちていくしかないのに
まだ正常な状態も残っていてどうにか足掻けば堕ちなくて済むんじゃないかと考えたりする

普段聞かないような非常に騒がしい音楽を聴いても
店員さんからレジで商品を渡される時少し明るめにお礼を言っても
一向に心が上がらない

連絡が滞っている
やらなくていいことが進んでいく
書かなくていいことを書いている
思い出さなくてもいいことに脳を費やしてる

己の力量不足に呼吸が荒れて
そこからそれを保つ術のない己に息を絶つ
ごめんなさい

早寝早起きをしたら良いのか
朝昼晩ごはんをたべたらよいのか
湯船に浸かったら良いのか
薬を飲んだら良いのか
1日10分の散歩をしたら良いのか

多分どれもダメだ

小さな連続が
なんともない、どようしようもない連続に
私はもう
無理だ
無理みたいだ
頑張ってみようと何度も
何度も頑張ってみたんだよ
たった一回で、数回で諦めたことなんてなかった
なかったけど
なんかちょっとだめみたい

でも
だめみたいで納得してもらえる世界で生きてない
だめなの?

ああ、そうじゃあどうするの?

じゃあどうするんだろう

みんなアレに堕ちる瞬間、どうしてるんだろう
向き合ってるのか、かわしてるのか、流されるのか、受け止めるのか
わたしは毎回どうしているんだろう
どうしていたっけと毎回思う

去年の今頃はどんな服を着ていたっけ
去年もこんなに暑かったっけ寒かったっけ

少しずつ、起きたことを忘れてる

そろそろアレに堕ちていく
アレに堕ちる瞬間がよくわかる

私は何もかも、何もかもだ

ごめんなさい

無理になっちゃいました

ごめんなさい

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