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【妄想副音声脚本】 OVA『ストライク・ザ・ブラッドIII』第7話 Aパート

※注意書き

この妄想脚本は、2019年7月24日に発売されたOVA『ストライク・ザ・ブラッドIII』Blu-ray&DVD第4巻を記念して書き下ろしたものです(期間限定公開の予定です)。作中に登場するキャラクターが、もし特典オーディオコメンタリーを担当したら、という内容になっております。アニメ本編を視聴しながらお楽しみいただければ幸いです(でなければ理解不能な内容かと思われます)。
・原作者の妄想ですので、もちろんBlu-ray・DVD本体にこの脚本の音声は収録されておりません。
・アニメ公式とは無関係な二次創作です。特に許諾など取ってないので、公式方面に怒られた場合には予告なく消えることがあります。
・内容についてのご質問・お問い合わせはご遠慮ください。
・転載は禁止です。
以上の内容をご了承の上、お楽しみください。

【アバン】

凪沙「OVA『ストライク・ザ・ブラッドIII』第4巻をお買い上げの皆さま、お楽しみいただいておりますでしょうか? 私、仮想オーディオコメンタリーを担当させていただきます暁凪沙です、が!」

雪菜「……が?」

凪沙「どうしよう、雪菜ちゃん。画面にスケキヨみたいな人たちしか映ってないんだけど!? これ本当にストライク・ザ・ブラッドであってるのかな?」

雪菜「え……と、スケキヨというのは、この白いマスクを被ってる人たちのことかな?」

凪沙「そうだよ。これは大変なことだよ。開始五秒でおっぱい的なサービスシーンが期待されてるストライク・ザ・ブラッドOVAで、よりにもよってスケキヨなんて……!」

雪菜「いや、あの、この人たちは横溝正史原作『犬神家の一族』の登場人物じゃなくて聖域条約加盟国の代表者たちだし、そもそも開始五秒でサービスシーンだった『タルタロスの薔薇篇』が異常だっただけだから」

凪沙「そうなの? あのエピソードってOVA3期の初っ端だったから、てっきり3期はああいう路線でいくのかなって」

雪菜「いかない……はず……ストライク・ザ・ブラッドは健全アニメだから……学園アクションファンタジーだから……」

【OP】

凪沙「というわけでオープニングです。浅葱ちゃんがアイドルアニメばりにキレッキレに踊るオープニング。これだけ動くのなら、本編でも毎回がっつりライブシーンをやってよかったと思うよ」

雪菜「たしかに見てみたかった気はするけど、いちおう話の脈絡というか、ストーリー的にそれは難しいんじゃないかな……」

凪沙「ストーリーなんて、そんなの後付けでなんとでもなるよ。インド映画を見習おうよ。とりあえず雪菜ちゃんが戦う前に歌って踊りながら衣装チェンジしたりすればいいんだよ」

雪菜「いやいや、獅子王機関の剣巫に衣装チェンジの機能はないから……」

凪沙「え? ないの? 雪菜ちゃん、なんのために幼いころから厳しい修行に耐えてきたの?」

雪菜「少なくとも歌って踊りながら衣装チェンジするためではないと思う……それに最近はインド映画でも唐突なダンスシーンは減ってるって話だし……」

凪沙「と、まあ口ではそんなことを言ってる雪菜ちゃんですが、浅葱ちゃんの曲を歌えるように、こっそり練習してたんだよね?」

雪菜「ど、どうしてそのことを……」

凪沙「前のエピソードのときに自分で言ってたもんね。真面目な雪菜ちゃんのことだから、動画を見ながら振り付けの練習もしてたに違いない」

雪菜「あ、藍羽先輩のダンスの話はこれくらいにしておいて、せっかくの恰好いいオープニングなので、それ以外の見所についても語りたいと思います!」

凪沙「ダンスシーン以外の見所というと、あれかな、雪菜ちゃんの発情顔。ディスクの再生時間でいうと2分7秒あたり」

雪菜「は、発情とかしてません!」

凪沙「え? 発情してないの? じゃあこれはどういう表情なの?」

雪菜「わたしの表情のことはいいから! ほかにもっと見るべき場所があるでしょ。今回はオープニングの登場キャラも多いし」

凪沙「そうそう。おかげであたしの登場シーンが少なくて」

雪菜「でも重要人物っぽい場面でソロだし、いろいろと思わせぶりで恰好よく描かれてるよね」

凪沙「うん。だから、あたしの発情顔をお見せできなかったのだけが残念です。雪菜ちゃんにも負けない渾身の発情顔を演じる覚悟はあったんだけどなー」

雪菜「だから発情してないってば……!」

【Aパート1 バレンタイン】

凪沙「それじゃあAパートも始まったことだし、あらためまして、仮想オーディオコメンタリーを担当させていただきます彩海学園中等部三年生、『天真爛漫な騒々しき賢妹』こと暁凪沙です」

雪菜「同じく彩海学園中等部三年生、『獅子王機関の可憐な監視者』姫柊雪菜です……って、今更だけどちょっと質問してもいいかな?」

凪沙「質問? どうぞどうぞ。古城君の好きなカカオ豆の原産地以外だったら、なんでも訊いて」

雪菜「逆にどうしてそれを秘密にしなきゃいけないのかがよくわからないんだけど……そうじゃなくて、あの……この仮想オーディオコメンタリーって、なに?」

凪沙「え? 知らない? アニメのブルーレイやDVDを買うと、副音声として声優さんやスタッフさんの作品解説や裏話が収録されてることがあるでしょ」

雪菜「いわゆるオーディオコメンタリーだよね?」

凪沙「それを作品内に登場するキャラクターにやってもらおう、という企画がストライク・ザ・ブラッドOVA3でもし実現したらこんな感じになったのではないか、という仮定と妄想で書かれたウソ脚本がこちらになります」

雪菜「仮定と妄想の略だったんだ……ということは、ここでの会話はブルーレイやDVDには収録されないんだよね」

凪沙「Yeah!」

雪菜「いぇあ……って……テンション高いなあ」

凪沙「本物の円盤には初回特典として細谷佳正さんと古川慎さんによるちゃんとしたオーディオコメンタリーが収録されております。なので、ここでは、頼まれもしないのにこんなものを書いてる恥ずかしい原作者のために、あたかもキャラ同士が掛け合いをしている体で脳内再生していただけると幸いです」

雪菜「恥ずかしいことをしてるって自覚はあったんだ……なんだかいろいろ触れてはいけない微妙な企画だったみたいだね……」

凪沙「とか言ってるところで、あたし登場」

雪菜「ここで待ち合わせしてる設定だったからね。でもどうして矢瀬先輩と一緒にいたの?」

凪沙「ずっと一緒にいたわけじゃなくて、登場のタイミングが被っただけだよ。不穏な波動を感じて慌てて様子を見に来たからね」

雪菜「不穏な波動……? って、魔力的な?」

凪沙「ううん、ラブコメ的な。ラブコメの波動的な」

雪菜「ラ……ラブコメの波動? それはいったい……」

凪沙「いやあ、危ないところだったよ。矢瀬っちとあたしが来なかったら、雪菜ちゃんは今ごろ古城君とぶつかって押し倒された挙げ句に半裸になって股間を古城君の顔に押しつけてたよ」

雪菜「いや……さすがにそうはならないでしょ……それはもはやラブコメとかそういう次元の話じゃないよ。いくらこの作品でも、そこまでのトラブルになったことはない……はず……」

凪沙「まあ、それはともかく、このエピソードはバレンタインの時期のお話なんだよね。ブルーレイやDVDの発売時期的には季節感ガン無視かと思いきや、絃神島が常夏の島なせいで、ある意味タイムリーな感じになっているという不思議な現象が起きてるけど」

雪菜「そ、そうだね……そういうのをタイムリーというのかどうかはわからないけど」

凪沙「でね、この世界ってクリスマスがないじゃない?」

雪菜「ああ……神の子そのものが存在しなかった世界って設定だから?」

凪沙「それなのにバレンタインはあるんだなって」

雪菜「キリスト教の代わりといってはなんだけど、TVシリーズで出てきたロタリンギア正教のような、魔族から民衆を守った聖人を崇める宗教があるんだよね。だからこの世界には、キリスト教の聖職者と同姓同名の聖ヴァレンタインさんがいるんじゃないかな」

凪沙「パラレルワールドの聖ヴァレンタインさん? あー……はいはい、あの人ね」

雪菜「知ってるの?」

凪沙「うん。エジプトで吸血鬼と戦って殉教した人だよ。あの名言が有名だよね。『やはりエジプトか……いつ出発する? わたしも同行する』」

雪菜「ヴァレンタ院……!」

【Aパート2 ブルーエリジアム】

凪沙「場面が変わりまして、水着回でおなじみのブルーエリジアム。久々だねえ」

雪菜「絃神島から少し離れた海域に増設された最新の人工島で、魔獣の研究所とレジャー施設があるんだよね」

凪沙「なんでその二つを組み合わせようと思ったわけ?」

雪菜「レジャー施設の観光収入で研究所の運営費用を賄うため……とか? 魔獣を見学できる動物園みたいなのもあったし」

凪沙「なるほど。結局、世の中はお金で回ってるってことだね」

雪菜「……あながち間違ってはないかもだけど、その結論はどうかと思う……」

凪沙「それにしてもグレンダちゃんだっけ? この幼女、登場するやいなやノーパンで走り回るなんて、いくらなんでもあざとすぎない?」

雪菜「ノーパンというか検査着だから……あと幼女といっても実年齢はたぶん千歳以上……」

凪沙「困るんだよね、まったく。この作品、ただでさえ小っちゃい子が多いのに。金髪ロリ吸血鬼とか青髪無表情メイドとかスクール水着で戦車に乗ってるアイツとかサッキュバス小学生とか……! 妹キャラのポジション争いが熾烈過ぎるでしょ!?」

雪菜「ま……まあ、気持ちはわかるけど、凪沙ちゃんには実の妹という、唯一無二の属性があるから。大丈夫だから」

凪沙「たしかにそれはそうだけど、実の妹っていうのはヒロインとしてはハンデでもあるからね。それにうちの父親の性格だと、あたしたちの知らないところで腹違いの妹の一人や二人こさえててもぜんぜん不思議はないし」

雪菜「さすがにそれはないんじゃないかな……」

凪沙「本当にそう思う? あの古城君の父親だよ?」

雪菜「…………」

凪沙「それに雪菜ちゃんのメインヒロインの地位だって、いつまでも安泰ってわけじゃないからね。獅子王機関の剣巫だって唯里さんがいるんだし、脱ぎ要員としての役目はすでに奪われちゃったといっても過言ではないわけだし」

雪菜「その役目はべつに奪われてもいいんだけど……」

凪沙「それは考えが甘いよ、雪菜ちゃん。見てよ、この更衣室のシーンの脱ぎっぷり。普通は女の子同士でも、もうちょっと恥じらって隠したりするものだと思うけど……」

雪菜「斐川先輩と唯里さんは幼いころから実の姉妹同然に育ったルームメイトだからだと思うよ。一緒にお風呂に入ったりもしてるし」

凪沙「実の姉妹……一緒にお風呂……そうか、あたしも古城君と一緒にお風呂に入ることで、妹キャラの座を盤石のものにできるかも……!」

雪菜「やめておいたほうがいいと思うな。妹キャラの座は盤石になっても、常識人のツッコミキャラというポジションが危うくなるから……」

凪沙「もしかして、あたし詰んでる……?」

【Aパート3 プール】

凪沙「そういえばあたしたちって、実はブルーエリジアムに行ったときもまともに泳いでないんだよね。せっかく水着着たのに事件に巻きこまれてばっかりで」

雪菜「たしかにプールで普通に泳いでいるのが新鮮に見えるね」

凪沙「おっと、ここでラブコメの波動が……!」

雪菜「ラブコメの波動じゃなくて、これは普通に魔力を感じてるんじゃないかな」

凪沙「そしてヴェレシュ・アラダール議長登場。水着の幼女を攫うために正装で公営プールを訪れる男!」

雪菜「そういう言い方をすると、アラダール議長がレベルの高い変態みたいなんだけど……」

凪沙「でも事実だよ?」

雪菜「ひ、否定できない……」

凪沙「それにしてもあれだね、せっかくプールで戦闘してるのに剣とか弓とか眷獣とかで戦うのは無粋だよね」

雪菜「無粋? でも、武器を使わずに戦うって、どうやって……?」

凪沙「それはやっぱり尻相撲というか、胸やお尻をぶつけ合って、相手を水面に叩き落としたほうが勝ちっていうルールにするべきでしょう」

雪菜「いや、それ、なんかべつの作品だから……!」

凪沙「とか言ってる間に、美少年登場」

雪菜「ヴォルティズラワ伯キラ・レーベデフ閣下だね。見た目に反して武闘派の吸血鬼で、アルデアル公ディミトリエ・ヴァトラー閣下の忠実な同盟者」

凪沙「すっごくいいいタイミングで出てきたけど、プールサイドに潜んでグレンダちゃんたちをずっと見てたってことかな?」

雪菜「せっかく助けに来てくれたのに、なんか危ない人みたいになってる……! まあ実際は、アラダール議長のほうを監視してたんだと思うよ」

凪沙「なるほど。水着の幼女を眺めているよりは、いい男のケツを追いかけてるほうが楽しいという気持ちはわからなくもないよね」

雪菜「うん、まあ、わかるようなわからないような……」

【Aパート4 MAR医療研究所】

凪沙「あれ、深森ちゃんだ」

雪菜「凪沙ちゃんと暁先輩のお母さんだね」

凪沙「そして雪菜ちゃんの義母になってくれるかもしれなかった女性だよ」

雪菜「どうして過去形なの……!? 故人なの!?」

凪沙「話している相手はヘクトスさん?」

雪菜「六番目と自分で名乗ってるからそうだね」

凪沙「アヴローラちゃんは全部で十二体いるんだっけ。十二等分のカレイドブラッドの六女?」

雪菜「そんなどこかの五つ子みたいな言われ方はしてないけども」

凪沙「それにしても普段着が浴衣というのは考えたよね。合法的にノーパンで出歩けるもんね」

雪菜「下着をつけずに出歩くために浴衣を着てるわけじゃないと思うよ……!」

凪沙「まあ、彼女はあたしと雪菜ちゃんにとってもかなり重要な存在だから、あまり悪く言うのはやめておこうかな……って、この話はまだしないほうがいいんだっけ」

雪菜「そうだね。詳しいことはOVA『ストライク・ザ・ブラッドIII』第5巻で」

凪沙「……と、あざとく宣伝を挟んだところで、Aパート終わります!」

(続く)


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