ささやかな日々。7日目
当時、ご近所さんは犬を解き放つスタイルでお散歩させていた。
飼い主不在、犬は自由に道路を彷徨いていた。
その犬は社宅内にも度々現れた。
子供を追いかけ走り回る姿は遊びたいというより、狩猟だった。
社宅内は一瞬にして阿鼻叫喚の様相を呈した。
「自分より小さい子を助けないと!」と思えるような余裕は一切なく、
恐怖心からがむしゃらに逃げた。
「自分はなんて酷い人間なんだ」と思ったと同時に
「いざというとき、人間はこうなる」と学んだ。
恐怖心は未だに残ってる。
きっと今でも同じ行動をとるだろう。
「わたしが囮になるからその隙に!」
「ここは私に任せて早く逃げて!」
なんてとても言えそうにない。
いや、普通になかなか言わないな。
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