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「なぜお客様が私に頼んだのか」を考えた時に見えた話

私はフリーランスのイラストレーターだ。

経歴

私の経歴を簡単に説明すると、
IT企業を4年、EC業界を2年経験した後、フリーランスに転向した。

会社員を経験しながらも、エンジニアや事務、画像処理担当だったため、営業やお客様とのやり取りはまだまだ経験が浅い。

この記事の対象者

今回、あるお客様と一緒に仕事をする中で、見えてきたことを話す。

この記事の内容は、駆け出しフリーランスならではの失敗が含まれる。
お仕事をバリバリしている方には何の収穫もない記事だ。

フリーランス駆け出しで、お客様とうまく意思疎通が出来ない

という方向けの記事だ。

①案件受注まで

案件を受注するまでは割愛するが、ポートフォリオを見て、

「このテイストが一番近いです」
とご連絡をいただいた。

また、
「表現方法を相談しつつ、仕事を進めることはできるか」
ともお問い合わせをいただき、私は

「目指したいゴールが明確な方のようだ」
と予想を立てていた。

②打ち合わせ

以下の内容を共有してもらっていた。

・印刷物であるため、その規格
・ターゲット
・イラストイメージの希望
・納期

これに対し、私が行ったことは、

・既にイメージしている参考画像などはあるか
・納期までのスケジュール
 (ラフ案→製作→納品)
・自前で集めた参考画像

参考画像に対して、
「~のこういう形が見やすくて良いです」
と答えてもらったため、それをベースにラフ案を提案した。

③ラフ案

6点ほどラフ案を提出したが、
フィードバックいただいた際に、

似通ったテイストも並んでいると、現地の方のセレクトがしにくい。
また、清書に近いパキッとした線の方が現地の人にも分かりやすい。

とのご指摘をいただいた。

そして更に追加ラフの提案を2点ほどいただいた。

この時私は、「やはり、お客様の中で既にイメージがあるんだな」と思っていた。

結局私のラフ案6点から3点、追加ラフ案2点を追加した、5点をラフ案とすることとなった。

また、現地の方に確認してもらうということだったため、簡単なモックアップも添えることを提案。

そして現地の方にラフを確認してもらい、1つの案に絞った。
モックアップについて、「ここまで丁寧に見せてくれたクリエイターさんは初めてです」と喜んでいただけた。

④ブラッシュアップ

決まったラフ案をブラッシュアップしていく。この際、いくつか気になる点をいただき、さらに

これはベースであり、強制するルール事項はない

ということをご連絡いただいた。

ここから、フォント案を数点提案、イラスト部分を製作していくが…

⑤認識のズレ

お客様から、
「ブラッシュアップについて、認識のズレを感じる」
とのご連絡をいただく。

この時点で私も、ズレを感じていたため、
通話で再度打ち合わせをすることに。(ここまですべてテキストベース)

⑥再度打ち合わせ

できるだけ認識に差異が出ないように細かく確認していたつもりだったが、
やはり音声での情報のやり取りに勝るものはない…

ここでは目からウロコの連続であった。

とても丁寧な方で、①のポートフォリオを見て選んでいただいた経緯を話してくださった。

にくQさんのポートフォリオのこの画像を見て、
遊び心のあるデザインをされる方だなと思いました。
少ない色味からポップさが出ていて、そこが気に入りました。

言われてみれば、①の段階で近いテイストは伺ったけれども、

私のどんなところが良いと思っていただいて、
どんなことを期待してもらっていたのかは不明なままだった

また、私の中で「既にゴールのイメージが明確なんだな」と思い続けていたが、伺うと、

「明確なゴールがイメージにありません」

との解答だった。

④の時点でのブラッシュアップ、修正点が細かくあったため、バランスを整えて欲しかったり、フォントを選定したり、そういったブラッシュアップを求めていると思っていた。

ラフ案から絞ったものが、お客様の追加ラフであったことからも、
「このベースは崩してはいけない」という固定概念に囚われていた。

「これはベースであり、強制するルール事項はない」と言っていただいていたものの、「どの程度逸脱して良いものか」が測りかねていた。

④のブラッシュアップは、そこからさらに私なりの遊び心のあるテイストで再度デザインを求める内容であった。

反省点

まず、①の時点で
私にどんな仕事を期待しているのか
というヒアリングが足りなかった。

②の時点で、通話での打ち合わせにすれば、差異が少なく済んだ。
また、お客様がどういった立ち位置で、この案件に関わる人があとどれだけ居るのか。その方々にラフなどを見せるタイミングはあるのか、等のヒアリングも足りていなかった。
(③の時に初めて現地の方が確認する、という情報が出てきた)

今回のお客様は、現地の方との橋渡し役をしており、デザインの用語については基本的に理解のある方だったため、お客様への提案としてラフを作っていたが、実際は現地の方に確認してもらうデータだった。
誰に確認してもらうデータか、という全体の流れをヒアリングすべきであった。

なぜ私に依頼してきたのかを考える

これはイラストなどに限らず、どんな仕事にも言えることかもしれないが、

お客様が出来ないことを私達に依頼する

ということが大前提だ。

依頼はしたいけれども、明確なゴールがあるわけではない。
もしあれば、「これはベースにしてもらいたい」などの共有があるだろう。

明確なゴールのないものを、私達がどうやって導くのか。

フリーランスで仕事をしている人の永遠の課題だと私は思う。

お客様が求めることはなんだろう?

これは他ならないお客様自身に聞くべきだ。

「ヒアリング能力がまだ足りないな…」と落ち込んでいたが、
今回の経験を得て、「どんなことをヒアリングしていくべきか」が以前より分かった。

初心忘るべからず、という意味合いも込めて、
私のヒアリング能力のなさをあえて記載しておこうと思う。

いただいたサポートは私の胃の中に入ります!