子連れ再婚の名字問題

子連れ再婚のご家庭の多くに共通するであろう「名字どうする問題」について、たぶん巷にあまり情報がないと思うので、我が家の例を書いておきます。

現在の日本では、民法により、「夫婦は同じ名字を名乗ること」が規定されています。

民法第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

ところが、親子間で同じ名字を名乗ることを強制する規定は、実はどこにもないんです。

また、出生時に婚姻していない男性との間の子どもについては、その男性に認知をしてもらう手続が必要になります。

また、血縁にない親と同じ名字を名乗る=同じ戸籍に入るためには、基本的には連れ子と再婚相手が養子縁組をする必要があります。

我が家では、再婚の際、小学生の娘の他に、今の夫との子がお腹の中にいました。名字を変えたくない娘、一方ではお腹の子は私が夫と結婚してない状況で生まれたら、別途認知の手続が必要になる…

考えた選択肢としては、
①このまま私も娘も名字を変えない(=婚姻手続・養子縁組手続をとらない(事実婚))
②私も娘も名字を変えるが旧姓を通称する(=婚姻手続・養子縁組手続を行う。小学校に確認したところ、別に戸籍と異なる名字を名乗ることは何ら問題ない)
③私は名字を変える。娘は変えない(=婚姻手続はとる・養子縁組手続はとらない)

当時、高学年に差し掛かろうという娘の意思を確認したところ、
絶対に名字は変えたくないし、(前夫と暮らした記憶はないものの面会はしていたこともあり)お父さんは1人だから、新しいお父さんなんておかしい。

現夫と話し合い、ただでさえ、生活環境も変わろうとしていて混乱しているのに、無理やりに名字を変える(すなわち養子縁組)をするタイミングは今ではないよね、という結論になりました。
一方で、生まれてくる子のことも考えて、③を取りました。
今のところ、戸籍上は、娘と私が別々になっています。

この点、すごく迷いました。娘と戸籍が分かれることに漠然とした不安があり。

再婚手続をして約2年が経ちましたが、今のところ、日常生活は呆気ない程に問題はありません。
親と子で戸籍上の名字が違っても、日常生活のおよそは通称でいけるので、私は娘の関係は娘と同じ旧姓を名乗っています。
一方で、各種手当や税金の扶養控除等は、戸籍上の名字が異なろうが、親子であれば(というか、事実婚であっても生計を一にしていれば)家族として取り扱われるようです。
自治体の子ども関係の助成金も同様に、生計を一にしてさえいれば、家族の塊として見なされ、わが家庭にとって、娘が第一子、生まれてきた息子が第二子、とみなされます。

なんだか拍子抜けします…。
相続だけは、民法上の親子でないと(養子縁組をしないと)連れ子は再婚相手からの民法上の相続権を得られませんが、日常生活は全く支障はなかったです。
当初、家族の中で名字が違うことに娘が違和感を覚えないだろうか、と心配していましたが、何となく受け入れ、今では弟は弟、自分は自分になっているようです。
今後、人生の節目で改めて娘には意思を聞いてみたいと思っています。

こうしてみると、日本はなぜここまで夫婦同姓にこだわるんだろう、と不思議です。
選択的夫婦別姓導入反対論者の多くは、夫婦別姓を認めてしまうと、家族の一体性が損なわれることを反対の理由に掲げます。
でも、同じ現行制度で、親子という家族の中では別姓が認められている状態なのです。
そして、職場や学校、自治体の制度や職場の福利厚生等では、養子縁組がなくても、生計を一にしていれば家族として認められています。
そして制度面はさることながら、家族の一体性を仮に精神的な結びつきと考えるなら、名字が同じであろうがなかろうが、一緒に暮らして信頼関係がある相手を家族と認識するようになるはずです(逆に言えば、同じ名字を名乗っていても、夫婦どちらか一方のモラハラ等で信頼関係を築けない場合もあります。。。)
しかも、選択的夫婦別姓は、あくまで選択的なのであって、全夫婦に別姓を強制する訳でもありません。
日本のナゾの一つです。。

とりあえずは制度の枠の中で淡々と処理する(名字は記号と認識する)ことで割り切りましたが、制度の枠からはみ出した我が家のような場合は手続が複雑になります。。
子連れ再婚以外にも、夫婦同姓が強制されることで困るケースもあると思います。

反対勢力が多く、国会での議論も中々進まないですが、菅前総理の発言に、期待しています。

法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について (moj.go.jp)

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