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4年ぶりに師匠に同行②

師匠とは車を別々に来ており、1台は入山用で上方の駐車場に置きもう一台は帰り用で下方に駐車。
なるほど・・・これなら帰りは楽だな

装備を整えて上方の尾根をトラバースする形で鹿探しを開始。積雪は20㎝から30㎝。陽当たりの良い岩場では注意が必要だ。

師匠のスタイルは単独猟オンリー。

高倍率の双眼鏡で300m~700m位にいるシカを見つけライフルで仕留めるといスタイル。

多いときは10頭以上仕留める事もあるとか。

先ほどの急斜面や岩場であっても撃つ。どんな場所でも回収は必ず行う。

この一帯の山の地形は全てインプットしているから成せる技。

回収は本当に命懸け!私にはこの猟のスタイルは出来ない!もう絶対無理(笑)

師匠の猟歴50年近いキャリアの中で編み出した唯一無二のストロングスタイルということでしょう。

トラバース中に後方から師匠の歩き方、歩くリズム、目線の送り方、歩くルートなどを勝手に観察させてもらった(笑)私と違う点は

・止まらない

・ペースが速い

・観察がざっくり

・歩く音をあまり気にしていない

同じ単独猟でも獲物に接近する忍び猟と遠射が利くライフル猟では歩き方も大きく違う。

ライフルは射程が長いので例え数百メートル先にシカが居ても大きな音を出さなければ気が付かれないし気が付かれても直ぐにシカが逃げなければ充分に射撃チャンスはあるだろう。

忍び猟の場合は五感をフル活用しながら最小限の音と動きで獲物に接近。もしくは待ち伏せ。

獲物に自分の気配を察知されやすいのが難点だが肉眼で発見できる事も多いので即射撃を行える。

師匠との会話の中で「いつも50m圏内でシカを撃っている」と言ったら「なんでそんなに近くに接近できるんだ?」と興味を持っている様子だった。

私も私なりのスタイルを確立中なのである(笑)

今日は二人での行動で物音は倍増。雪も凍てついてゴリゴリ音が出る。シカに察知されるのは確実。

忍びでの捕獲は無理だと早々に悟った…

もしチャンスがあるとすれば群れをなさず単体でのんびりしているシカ。

低確率だがこういう個体は一定数必ず居る。

出会いがしらに逃げ出した所を撃つ!今日、私が獲れるシカはこの方法のみだろう。

師匠のライフルが最も捕獲への近道で期待が高まる。

30分ほど移動した頃に、雪が血で染まっていた。鮮度的に新しい。

師匠曰く、昨日この場所で入山者がいたのを目撃したとのこと。

多量の血痕があったので解体も行われたと推測。

「昨日、相当いじめられたねー。ここまで歩いて目撃無しなんて普段ないんだけどね」と師匠。

どうやら今日は相当シカにプレッシャーが掛かってるらしい。・・・シカにプレッシャーを掛けてる張本人が目の前にいるんだけど他人のせいにしてる(笑)

ついにシカ発見!!ライフル発射なるか?


対岸の斜面にいるシカを双眼鏡で探す

ある場所に達した時に師匠が双眼鏡でシカを発見した模様。私も双眼鏡を覗くと確かにいる!

師匠はバイポッドにライフルを固定しスコープを覗き始めた。鹿の動きは私が双眼鏡で覗きながら師匠に実況解説。

先刻とは手の平を返し私も「師匠、シカを獲ってくれ!」と少年のようなピュアな気持ちで捕獲を願った。
だがもう直ぐで射撃準備が整うという時に鹿は移動してしまい視界から消えてしまった…

残念!!
でもこんな事は猟ではよくある事。一喜一憂するより気持ちの切り替えが大切。

百戦錬磨の師匠は全く動じない!余裕のある男性とはこーいう人なのか?雑誌ananに「抱かれたい猟師」ランキングがあったら上位確定だろ!

獲物気配が出てきたので師匠も私も緊張感が走る…

その後、尾根に向かって進んでる時に「ピー」と警戒音が!かなり近い!!

尾根上に向かいシカ10頭位の群れが一斉に逃げていく!私もすかさず射撃準備をするが時すでに遅し!

シカの白いお尻が見えるだけ。このような状況下で射撃して命中した事がないので射撃は見送る…

「なんで撃たねーんだ!」と4年前の悪夢が蘇り師匠に叱責されると思いきや師匠は結果をお見通しのようで「飯でも食おうぜ」と笑ってる。

やっぱりこの人凄い人なんだわ…と今日は納得。このお見通し感なんなんだろ(笑)

昼食後も尾根上を目指して進む。岩場がある時も多くスパイダーマンのように斜面に張り付きながら進んだ。危なくて仕方ない場面の連続。

俺が死んだら家族以外誰が悲しむだろうか?とか葬式で使用するBGM決めてないとか。死ぬ前にもう一度あの人に会うべきだったろ?とか煩悩しか出てこない自分を恥じた(笑)

なんとか尾根上に出て高い位置からシカ探し…
だが師匠も私も一頭のシカも発見できず。
こればかりは仕方ない…

師匠も私に撃つ機会を与えたくて近い場所のシカを探してくれていたのを知ってる。

獲物を全く獲れない時もあるがたまにしかないとの事。4年ぶりに一緒に猟に出て「たまにしかない」日に当選してしまった私(笑)

持ってる男ですね。

師匠がこの記事を見る事は絶対ないと思うので失礼な事も書いたけど
「唯一無二の自分の猟のスタイルを持っている」
これは本当に凄い。猟をやる以上は自分のスタイルを確立したいです。再確認させていただきました。

今日は学びの機会を与えて下さり感謝申し上げます。身体を労りながら無理せず猟に励んで下さい。









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