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【二胡の運指】1音の指の距離(2)

半音の弦上の距離は何ミリずつか。

「半音の比率は2の12乗根。弦が出す音の周波数は最も単純な原理的物理モデルでは弦長に反比例する。つまり半音で隣り合う音の弦長の比は先ほど出てきた2の12乗根に等しい。」

と理系の身内が教えてくれたが、計算まではしてくれなかった。本当は計算で知りたかったが、できないので諦めて音位標尺で点々の距離を測ってみたのがこちら↓

その後、救世主現る!
クラスの先輩のT.Y.さんが教えてくださったので、情報を共有したい。

ーーーー2の12乗根の謎 by T.Y.さんーーーー

弦楽器がある音を出しているとき、半分の長さのところを押さえると1オクターブ高い音になることはよく知られています。

では、1音高い音の時はどれだけの長さになっているのかというのが提起された問題です。

そこでまず半音高い時の長さを考えます。例えば開放弦でドの音を出した時にド♯の弦の長さを問題にするわけです。

この長さを開放弦よりa倍になったと仮定します(今、音が高くなることを想定していますから弦は短くなるので当然aは1より小さい値です)。

さて、次にド♯からさらに半音高くするとします。その時の弦の長さはどんな倍率で変化するでしょうか?

同じくa倍です。なぜなら今出している音から半音高くなる弦の長さの倍率なので、どんな音から出発しようと長さの変化の倍率は変わりません。

さて元の開放弦から比較すると

開放弦 → 半音高い → さらに半音高い

 ド     ド#      レ

元の長さ   a倍    さらにa倍

となって、1音高くなった時には元の弦のa^2(a×aのことを表しています)倍になっていることがわかります。

半音上がるごとにaが掛け算されていくのですが、1オクターブの中には12個の半音階が入っていますから(鍵盤で数を数えてみてください)最初に言ったように

a^12(aを12掛け合わせたものです)=1/2   

の関係が成り立ちます。

なので、a=1/{2の12乗根}となり、ここに「2の12乗根」という不思議ワードが登場します。

ではこれはいくつなのか、が次の問題です。ここではMicrosoftのExcel君にお任せしてサクッと答え一発(べき乗計算 =2^(1/12)または関数 =POWER(2,1/12)が使えます)。

結果はa=1/1.059463=0.943865   

さて、ようやく結論に至りました。1音上げた時の弦の長さは元の弦のa^2=0.890882倍です。約11%下に進まないといけないわけです。

二胡の千金から駒までは約38㎝なので開放弦から1音上げるには4cmちょっとの間隔になります。この「ちょっと」がとてつもなく微妙なことは、皆よく知るところです。

ーーーここまでーーー

なるほど。よくわかる!

半音ずつの距離を計算して、セルの高さをその数字に合わせてみた。
(左表)
右の運指表の各指の位置と見比べれば、全音も半音も距離がわかる。

右の運指表は『賈鵬芳の二胡教本 〜入門から極意まで〜』p.139 ♭Bポジション図を引用


モヒーニーの出だしの 6 5 (下に点)は34.8mm、
1オクターブ上の 65(点なし)は 26.2mm。
あら、前にアナログで測った数字は、だいぶざっくりだった。。。

24 32 1  76(上に点) の 43の弦上の距離は、たったの8mm。
薬指と小指をぴったりくっつけて距離を測ったら11mmだった。

薬指と小指をぴったりつけても距離は10mm以上

弾いていて4が高いなあと思っていたが、指を並べるだけでは8mm幅にはならないわけだな。


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