見出し画像

誕生日うさぎのお話

誕生日うさぎはふだん、ふつうのうさぎとして暮らしていますが、誰かのお誕生日が近づいてくると体の色がだんだんあざやかになり、しっぽは他の何かと交換したみたいにとつぜん別の色になります
そしていよいよその日がやって来ると金の王冠を頭に乗せ、お誕生日さま(お誕生日を迎えた人のこと)のところに駆けていきます

ワインのコルク栓を抜くポンという音に紛れたあとはクラッカーのリボンをすり抜けて、ケーキのロウソクの灯りを飛び越えて(決して炎を消してしまうことはありません)そのあとは星も月も飛び越えて、夜が明けるころにはすっかりもとのふつうのうさぎに戻ります

ごく一瞬の出来事ですし、うさぎは何せ身軽ですばしっこいので彼らの姿を見たことがある人はあまりいません
でも時々(わりとたくさんの時々)金の王冠をわざと落としていくことがあって、それを見つけた時は大切にひらって自分の頭に乗せてみるといいそうです
そうすれば次のお誕生日まで毎日ゆかいに、やわらかな心で過ごせる魔法をかけてもらえるそうです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?