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インド旅行記0

既にお伝えしていたように
色々な方の応援や縁のおかげで、この2023年10月に
約2週間、インドに行ってきました。
ご報告を兼ねて、その話を少しずつしていきます。
今回は行くまでの経緯という事でエピソード0を。

・アーユルヴェーダを受けたい母

遡れば、私の母が日本でちゃんとした「アーユルヴェーダ」(非常に歴史が深いので一言での説明が難しいですが、大雑把に言えばインド・スリランカを中心に伝わる歴史的な伝統医療・健康行為)を行える場所を探したのがきっかけ。

よく分かっていないと「インド式マッサージ」みたいな感じで受け止めてしまう人もいるんですが(もちろんマッサージも大事な治療の1部ですが)実際はそれにとどまらないもっと深いもので、世界最古の医療とも呼ばれるものだとか。

ちなみに母は、以前1週間ほどスリランカのアーユルヴェーダ専門のホテル(兼ホスピタル)に行って滞在治療を受けたことがあり、その時の経験から、アーユルヴェーダ受けたいなと思いつつも、日本でアーユルヴェーダを標榜していてもどこまで本格的なものなのか、無駄に高いだけのマッサージみたいになっては意味がない、ということでもやもやしていたそうです。

そんな折(私が誕生日にプレゼントしたノートPCで)母がネットでたまたま見つけたのが、インドでちゃんと修行してきた方が行っているサロンのHP。
キーボードを打つのも一苦労の母が、どうにかメールを送ってみたところから今回の縁が始まったのです。

・クマさんとケワルさん

さて、このサロンを運営されており、アーユルヴェーダの施術師(セラピスト)でもある御方、通称クマさん
旦那さんはインドの方で、普段はインドで生活されており
時折日本に帰ってきた際にサロンをされているとのこと。

ということで母がコンタクトを取り、日本に戻ってこられた際に
施術を受けるという流れが始まったわけですが
母曰く、アーユルヴェーダの腕は確かで何より人柄がよく
日本を離れる際に「日本にまた戻ってくる時にはぜひ連絡ください、必ずまたお伺いします」という約束をしたとのこと。

私の母はコミュニケーション力の塊みたいな人で
スーパーのレジで前に並んでた人に話しかけ
気が付くと「よかったら遊びに来てください」となっているような人。

なお私自身はその1%も受け継いでいないような人見知りタイプですが
ボードゲームが好きで、ボードゲームで遊ぶという前提なら
どんな人とでも楽しく遊べるゲームってすごいよね、と思っている人。

そして、ある時クマさんが日本におられる際に
その旦那さんであるケワルさんもおられ
母の「もしよかったらぜひうちに遊びに」が発動したようです。

というわけでご夫妻がうちに来られました。
旦那さんのケワルさんは日本語は全く喋れず、我々が喋れるのは
かろうじて英語のみ。

とはいえ、我が家は35年以上もホストファミリーをしていて
英語も全く喋れないモンゴルの少年とも一緒に過ごしたこともあるし
言語の壁なんてのは別にどうということはないのです。

そしてなにより、私(我が家)にはボードゲームがあるじゃないか!
ということでみんなでゲームで遊びました。

ドイツのボードゲーム作家のクラマーが
「ゲームは、国境や世代をも越えて、人々を繋ぐ橋である」
という言ったという話がありますが
実際ゲームによっては全く言語依存が無く、世界中誰でも遊べて
楽しくて、仲良くなれるものがたくさんあるわけで
みんなでワイワイと時間を忘れて遊びました。

もちろんゲームの力もありますが、お二人とも本当に気さくで
優しいお人柄に加え、なによりゲームを心から楽しんでくださるので
こちらとしても本気で楽しめるんですよね。
(ゲームの際に冷めてるというか、ちょっと引いてはいはいこういう感じね、とされるとちょっとこちらとしても入り込みづらいので、こういうプレイヤー間の温度感は大事)

ご夫妻にも大変気に入ってもらえたようで
それからタイミングが合えば
「何日に行ってもいいですか」「今度の何曜日どうですか」
なんて、何度も一緒にゲームとそれに加えてお喋りを楽しんだのでした。

※ ちなみに1度は友人のノルウェー人男性も一緒に遊んでました。
相変わらず自由な我が家。

・インドの景色

ご夫妻とも非常に気さくな方々で
ゲームで打ち解けていることもあり、インドの話も色々聞かせてもらう中で
ある時ケワルさんがスマートフォンの写真を見せてくれました。

エメラルドグリーンの川が流れている綺麗な景色
ガンジス川だよ

え?ガンジス川ってあの、人でごった返している泥水みたいなやつでは…
遺体が流されてとか汚染されてるから危険とかそういう話はよく聞くけど…

非常に失礼ながら、頭にはそんな「知識」が浮かびました。
日本のテレビなんかで流れる「インド」「ガンジス川」のイメージは
そういうものがほとんどではないでしょうか。

でもインドの面積って328万km²もあって世界7位の広さで
ガンジス川の長さは2,500km以上もあるんです。
(青森から山口までまっすぐ結んで1200kmくらいと聞いたことがあるので、単純比較でその倍。もちろん川は曲がりくねっているので、意味のある比較ではないが、大まかなイメージとして)

自分がテレビや本で得た知識って
インド全体、ガンジス川全部の何%なんだろう、とふと思わされました。

そして詳しく話を聞いてみると
ご夫妻のおられるのは日本の旅番組なんかで紹介されやすい
「いわゆるインド」のイメージが強い「デリー」ではなく
遥かに北にある「リシケシュ」という街。

ここはヨガの聖地であり
山やジャングルなど自然豊かなエリアだそうです。

さらに
・ガンジス川は時期によってかなり色や流れが違う

・上流に遡っていくと水は非常に綺麗

・インド暑い、40℃越えみたいなニュースあるけど北の方はヒマラヤが近いから涼しい・もっと北に行けば標高高くて寒い。なんなら氷河もある

おいおい、恥ずかしながら何も知らなかったじゃないか。
知識として断片的にはあっても、それがちゃんと繋がっていなかった。

・偏見や先入観を壊す

そういえば私が以前キューバに行った時や
グアテマラでスペイン語の短期留学をした時
良く知らないままに勝手なイメージで
「キューバって危なそう」「あの辺りって怖そう」
みたいなことを言われたものでした。
(ゴリゴリの共産圏だけあってキューバめっちゃ治安よかったです)

日本に入ってくる情報、メディアから流れる話
それらで勝手に持ってしまったイメージって
別に差別感情があるとかそういうことではなく
なんとなくそんなものとして知らず知らずのうちに定着しちゃうものだよね
と思いつつも、そんな風に言われる度に若干のモヤモヤがあったのも事実。

でも自分もよく知らない、興味を持ってないままに
インドって何となくこんなところというイメージに捉われてるかも
そう気づかされるきっかけでした。

「へー、こんな綺麗なガンジス川、一度見てみたいなー、写真撮りたい」
と思わずつぶやく私にご夫妻は
「ぜひ一度インドに来てよ!」
「なんならその写真をポストカードにしましょう!」なんてことまで言ってくれたのでした。

大事なことなんですが、こういう時に、お二人そろってというのが嬉しいですよね。
お一人はノリノリだけど、もうお一方は内心どう思ってるんだろう…みたいになっちゃうとけっこう気を使うので…
ご夫妻そろって同じように言って下さるのが非常にありがたかったです。

そして、ケワルさんの見せてくれた写真、お二人の話が
自分がインドに対してあまりよく分かっていない
という事に気づかせてくれたように、
私も写真で何かを伝えられるかもしれない。そんな風に思いました。


・ジャングルハウス

更に詳しく話を聞いてみると
ご夫妻は北部のリシケシュという街で「ジャングルハウス」というところに住んでいる?経営している?

ケワルさんはオーガニックショップを経営されておられる?

この時はまだ断片的でよく理解していませんでした。

聞きながら「どうも宿泊可能な場所があるらしい」
「海外にたまにあるゲストハウス的なあれかな?」(ホストファミリーしている時の留学生の中にも「うちにはゲストハウスがあるから来てね」みたいなことを言ってくれる人はいた)くらいに理解。

うーん、インドまで行って短期で帰るのはもったいないし
かといって長期滞在となるとホテルの確保等も大変だし(良いところは長期居るにはお金がかかりすぎるし、安いところに長期居ると色々心配)

もし本当に安心して泊まれる場所があるなら、それはとてもありがたい。
そしてジャングルハウスなんて響きだけでワクワクする。(水曜どうでしょうのジャングルリベンジとか大好き)

何より、母とボドゲが繋いでくれたこの御二人との縁がきっかけで
インドまで行くだなんて、なんだか素敵なことじゃないか。

・約束

そして、もうすぐ日本を発つというお二人が
最後にうちに遊びに来られ、一緒にたっぷりゲームをしてお見送り

その時思わず口から出たのが
「Next time we will meet in India!」
ここまでちゃんと文法で喋ったかは覚えてないけど
要するに「次はインドで会いましょう!」


社交辞令?
いやいや、これは「約束」です。

ホストファミリー長年やってると
「次は私の家に来てね」「私の国にも来てね」と言ってもらえることは多い

そういう時に日本的社交辞令で
「わかった!」とか「うん、必ず!」なんて言っちゃうと、その場で
「いつ?いつ来てくれるの?」と返されてあわあわする。笑

できもしない、あるいはその時点ではそこまで本気でもないのに
社交辞令で適当な事を言うものではないです。
(日本文化としての、こういう「友好関係が構築できていますよ」というのを示すやり取り自体は嫌いでは無いですが、国際的には通じない場合が多い)

そんな事を存分に知っている私が自分から言ったんですから
これは必ず実現させたいと思っている「約束」なのです。

・する理由としない理由

どんなことにでも言えるんですが、物事を決める時に
人は、する理由としない理由を挙げることができます。

もちろん日時を指定されて、スケジュール上不可能だったら
「その日はこういう予定が入っていて…」となることはあるでしょう。

でもまだ日程も決まっていないような事の場合は
要するに「したい」か「したくない」か、です。

私はよくこういう時に「前のめり」という言葉を使いますが
その事に対して前向きな気持ちが強く、どうにか実現したいと思っているならどうにかして「するための理由」を探し出し、創り出します。

でも気乗りしていないことだと
「いやー、やりたいんだけどね、でも…」と無理やりにでも「しない理由」を探し出そうとするものなのです。
もちろん「する」のがよくて「しない」のがダメ、ということではありません。自分自身の気持ちに正直に「自分はこれはしたくない」ならそれでいいのです。あらゆる手を使って回避しても良い。
でも逆に、行きたいはずなのに「行かない・行けない」理由を拾い集める必要はないのです。

「インドに行くかどうか」を考える時に
行かない・行けない理由を探すのは簡単でしょう。
日程調整が、旅費が、体調が、治安や食べ物が心配で…etc

でも気持ちが前のめりなら、とにかく行ける方向に持っていくために
全力で理由作りから始められます。

・ここの仕事さえ調整すればどうにかなるんじゃない?
・不用品処分すれば多少は資金の足しにならないかな
・とりあえず掛かりつけ医に相談してみよう
・事前にしっかり情報集めまくって用心に用心を重ねよう

こんな風に最初から「行く」と決めて
そのために少しずつ外堀からでも埋めていけば
実現に向かって進むことは難しい事ではないのです。

そんなわけで、皆さんからの応援にも非常に励まされながら
こうしてご夫妻との約束を果たすべく
そしてカメラマンとしての自分とも向き合いながら
インドへの道が開かれていったのでした。