千盤一夜物語(3)

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今日、手に取ったのはバティス。爆演系・ラテンの血が騒ぐぜ!!!的な指揮者として知られるが、この「ローマ三部作」は至って普通。というか、もともとの曲が血が騒ぐ状態で書かれている部分が多いので、そう聴こえるだけのように思える。

しかし、よく聴くと、レスピーギの筆は冴えていて、いろんな楽器に詳しくない私からしても、随所に様々な工夫があることに気がつく。そして、鳥の声などの採用についても、おそらく「音を描く」ことに興味があったというより、「耳に届く音のすべてが音楽なのだ」という人だったのではなかろうか、レスピーギは。その点、マーラーもそういう人なんだろうなって「ローマの松」を聴きながら思う。

なんだか、残響の多い感じの録音だが、“燃えるときの音は面白い”ロイヤル・フィルの面目躍如たる演奏ではある。すごく頑張っているけど少し向こうの方で聴こえるホルン(カーテン開けてくれ!って感じることが多いのがロイヤル・フィルのホルンなのである)とか、程よい艶を聴かせる弦楽器とか。このオケ、ユーリ・シモノフ先生とのマーラーとかでも思うけれど、自由勝手に鳴らさせてくれる指揮者が好きなんじゃなかろうか。指揮者の精神性とか解釈とかの小難しい話はさておき、「どう?頑張ったでしょ!」的な演奏がロイヤル・フィルらしい。うまいアマチュアにも通じる親近感とでもいえるサウンド。嫌いじゃない。個人的には、ロンドン響より断然面白く感じる。

さて、バティスだが、他の曲も聴きたくなるか?というと、そうでもない。ナクソスの廉価なラインナップの中では出色のできながらも、「ローマ三部作」なら、他を当たろうってなる。第一、「3部作」揃ってないのに、マゼール&クリーブランド管の外連味たっぷりの演奏が聴きたくなるというもの。

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