「見送る扉」第十場

■第十場
    前場と同じ時間帯。ギーヤンとエリが通話中。エリは申しわけない表情
ギーヤン 「そんな謝らなくていいよ。ただちょっと整理させて。‥聡さんから、チケット追加のお願いが来たんだよね。ただ今日中の入金って。枚数は?。」
エリ 「5枚。」
ギーヤン 「そうか。数は大したことないね。‥ただそれにしても今日中とは。‥もうちょっと早く言ってほしかったね。」
エリ 「そこはわたしからも言った。聡もそこは申し訳ない、ってすごく謝ってた。なんとか自分でチケットさばこうとしたけど、どうにもならなかったみたい‥。」
ギーヤン 「舞台復帰久しぶりって言ってたもんな。ついてるファンが少ないんだろうね多分‥。仕方ない。俺らの名前でともかくもチケット買おうよ。あとで行く人集めて、チケット料もらえばいいんだから。」
エリ 「うん、ホントごめんね。今回も巻き込んじゃって。」
ギーヤン 「気にするなって。‥彼氏さんのためだろ?。」
エリ 「うん。‥銀ちゃんに相談してよかったよ。ありがとう。このお礼はきっとするからね。」
    ギーヤンは、エリの言葉にときめくが、恥ずかしくてわざと感情を押し殺す。
ギーヤン 「‥‥、あてにしないで待ってるよ。」
エリ 「え?、‥ちょっとそれはひどくない?。‥さすが他人の言うことは信用しない、をモットーにしてるだけのことはあるね。」
ギーヤン 「あああ、今の無し。俺はエリのこと信じてるから!。」
    エリは屈託なく笑う。ギーヤンも笑う。
ギーヤン 「じゃあ。準備できたらまた電話するね。」
エリ 「うん。」
    通話終了。エリは申しわけない気持ちがよみがえり、表情が暗くなる。ギーヤンは聡への嫉妬の感情を押し殺そうとして、表情が沈む。


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