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小田代ヶ原のキツネ

 「奥日光の湿原」はラムサール条約に登録されている。また、戦場ヶ原と小田代ヶ原は、日光国立公園の特別保護地区に指定され、植物や昆虫等の採集が禁止されている。シカの食害を防ぐ侵入防止柵もある。
 小田代ヶ原は湿原から草原に遷移していて、高原の花々やノアザミの群生、ホザキシモツケの淡紅色の花、フタスジチョウ、ノビタキの姿など四季折々に楽しめる。草紅葉やカラマツの黄葉も美しい。

 小田代ヶ原の朝。中央奥に太郎山と「貴婦人」(白樺の木)が見える。©nishiki atsushi

 晩秋に訪れてみると、一面の枯れ野のなかにホンドギツネがいた。キツネは夜行性だが日中でも時折見かけることがある。艶々とした毛並みのキツネは、暖かな日差しを受けて心地よさそうに休んでいた。「日向ぼっこ?…そう…静かにしていると幸せな気持ちになるよね」などと、親しみを込めて思ったりもした。
 しかし、すぐにキツネの姿勢や慎重な動きを見て気がついた。キツネは耳を前に向け、微かな気配を逃すまいと集中していた。狙いは小田代ヶ原の野ネズミ。体が小さく俊敏で警戒心も強い相手だ。

耳を傾け覗き込んでいる。©nishiki atsushi
 獲物は諦めて静かに動き出した。毛並みに光沢があり美しい。©nishiki atsushi
 小田代ヶ原に生息する小さな野ネズミ。個体数が減っているヤチネズミかスミスネズミと思われる。この写真では笹の茎を両手で持って食べている。足元の黒い箇所は、地表近くに作った細長いトンネルの入り口で、危険を感じると素早く逃げ込む。©nishiki atsushi
この個体は毛並みが荒い。季節や個体によって違ってくるのかもしれない。©nishiki atsushi

 空nyan! 小田代ヶ原の白樺の木「貴婦人」は、厳冬の強風や寒さに耐えなければならない。キツネも冬を越せるだろうか。
 Nothing seek,nothing find.

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