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資産形成の備忘メモ ~スエズ運河における座礁の影響〜

スエズ運河における座礁問題が長期化しそうな様相を見せてきており、私なりに座礁問題について整理をしてみました ^ ^ 

日本の統計から見る海運の重要性

日本海事センターが発表している日本の輸出・輸入の統計データを見ると、重量ベースで99%以上が船舶輸送になっています。

【参照データ・公益財団法人 日本海事センター】

https://www.kaijipr.or.jp/shipping_now/pdf/data2020_2.pdf

現時点の国際輸送の世界で、海運を切り離すことはできないです。海運に頼っている貨物は、穀物・鉄鋼・石油などであり、飛行機と船舶で輸送コストを比較したときに、船舶が圧倒的に安いということが挙げられます。穀物・鉄鋼・石油に限らず、単価が安い製品を船舶で輸送することは一般的です。一方で、半導体や電子機器などの単価が高価で小さいモノは飛行機を用いた場合でも輸送費の影響が本体価格への影響が小さいので、飛行機を用いる輸送が主流になります。

また、輸送時における1ショットの取扱い量が大きいことも理由になると考えます。穀物や石油などの国際輸送は、1隻の本船で5万トン~10万トンという規模で輸送されます。本船の長さは、200m~300mであり、輸送の規模を理解しやすいかと思います。

航空機が発達する前から、船舶輸送を前提とした輸送インフラが整っていた(≒港湾のコンビナートなど)という時系列的な補助的な視点も含めると、今すぐに船舶輸送に頼っている商材とを飛行機に切り替えることは現実的ではありません。

スエズ運河を利用する航路で運ばれているもの

改めてしらべてみましたが、生活に必要なありとあらゆる貨物を輸送しています。下記にブルーンバーグの記事URLを貼り付けています。

【インスタントコーヒーにも影響波及か、スエズ運河のコンテナ船座礁

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-26/QQJTW0T0AFB701

【トイレットペーパーが次の犠牲か、世界に影響与えるコンテナ危機】

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-25/QQHV9YT1UM0Z01

こちらを見て改めて感じることは、いかにスエズ運河が日々の生活を含めた商材の輸送に寄与していることがわかります。次の項目で記載しますが、EU向け貨物を中心に荷動きに遅れが生じるために、原油などの既にメディアで大きく取り上げられている商材だけでなく、一見すると関係がなさそうな商品についても影響が出てくると考えています(※短期的に、輸送の遅延が発生している商材について株価などが上昇する可能性あり)

座礁問題が金融市場に与える影響

こちらについては、スエズ運河の国際輸送における影響がある国について見ていく必要があります。国土交通省 国土技術政策総合研究所たちが作成したコンテナ船の運行ルートについて検証したときの資料URLを貼っています。

【スエズ運河に着目したコンテナ船の運航ルート選択モデル】

http://webpark1967.sakura.ne.jp/shiba/wp-content/uploads/hpb-media/img/file2.pdf

こちらの資料の2ページ~5ページをみますと、出港地および仕向地のおおよその傾向が見て取れます。

EU⇔中東&アジア圏だけでなく、米国東海岸⇔中東&アジア圏の国際輸送においてスエズ運河の活用が一般的になっていることが見て取れます。本資料で指摘されている通り、スエズ運河内の運行可能な本船サイズが広くなったことに伴い、大型本船が喜望峰を経由するルートを使用するのではなく、スエズ運河を活用するようになっています。

ここで一つの疑問が出てくるのは、座礁問題が解決されるまで、船会社はスエズ運河を使用しない形の航路選択を行わないのか?という点が出てきます。私見では現時点で判断を行うことが難しいと言えます。喜望峰を経由するルートを選択すると運行日数が+7日~10日間かかることになります。この日数の遅延が許容範囲であるか否かが何とも言えないです。

昨今のコロナ禍にともない、国際輸送が一時的に冷え込んだときにコンテナが中国などで滞留してしまい、国際的にコンテナ本体の需給がタイトになっており、運行日数の遅延を避けたいということが船会社の本音ではないかと推測しています。

また、座礁問題が発生したときに、「1日~2日で解決するだろうし、待っておこう」というような楽観的な予想を船会社がしていたこともあり、航路変更をせずに滞船している本船数が数十隻あるのではないかとも考えています。既に、迂回路を選択している本船が出てきているという報道がありますが、座礁問題が長引けば、迂回路を選択するケースが増えてくると予想できます。(運行日数への影響が継続的にある可能性あり)

上記の通り、コンテナ本体の需給がタイトになっていること及び、他航路を選択したとしても国際輸送に遅延が発生していくであろうという大きな流れは変わらず、船会社の株価だけでなく、他原料(原油など)について短期的に強含む相場になると考えます。

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