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2022年東証大納会雑感ーー岸田首相と三谷さんを迎えて

やれやれ……。今年も12月30日(金)ということで東京証券取引所では1年の商いを締めくくる大納会が催されました。もう世の中の多くの人は仕事を納め、大掃除をしたり、1年を振り返ったりしているのだろうと思いますが、長年、証券市場記者をしていると、この日までは働き続け、大納会をのぞいて、あちこちあいさつをして回らないと何だかすっきりしないものなのです。ほんとは大掃除とかした方がいいんだろうと思いますが……。

取引所の大納会は、その1年を象徴するようなゲストを迎えるのが常です。誰をその場に呼ぶことができるかで、きっと取引所の担当者の人事査定に大きく関わる一大事です。知らんけど……。で、今年はNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の脚本を書いた三谷幸喜さんが来ることが発表されており、自分的にもかなり盛り上がっていたわけです。何せ毎週欠かさず見ました。北条義時こと小栗旬の人相がどんどん悪くなっていくところがすさまじかったですね。それだけでも十分に盛り上がれたのですが、直前になって特別ゲストが発表されたのです!

鎌倉殿、最終回は期待にたがわぬラストでした!

ジャーン!「岸田文雄・内閣総理大臣」。財務大臣なんかが大納会のゲストに来ることはそう珍しくはないですが、現役の総理大臣が、大納会の東証に登場するのは2013年暮れの故安倍晋三元首相以来です。2013年当時はアベノミクスの初動期。“バイ・マイ・アベノミクス”で大変な盛り上がりだったわけですが、それに比べると2022年。“インベスト・イン・キシダ”は今一つ印象が薄いところがあります。まあ、ウクライナ危機とか世界的な利上げとか、それこそ安倍元首相の銃撃事件など、あまりにもいろいろなことがあったからでしょうかーー。必ずしも岸田首相の責任とばかりは言えないと思いますが、率直に言って市場関係者、投資家からものすごく好かれている――とは言い難いのです。政権発足当初に金融所得課税を持ち出した(現在もくすぶり続けている)ことがいまだに尾を引いている印象が拭えません。

スタートアップ、資産倍増プランについて力説

さて登壇した岸田首相は、7分あまりも時間を使って「今年は資産所得倍増プラン元年に」と力説しました。年末の税制改正大綱で、2024年からのNISAの抜本拡充(制度の恒久化、非課税の無期限化、投資枠の大幅拡大……)が決まっていて、確かに取引所の1年を締めくくるにはふさわしいようには思えます。しかし、スピーチではNISAうんぬんより先に、スタートアップ支援について縷々語ったのは若干意外でした。自分としては、方向は全然悪くないと思います。来年は意外なほど盛り上がるのではと期待もしています。

そんな思いとは裏腹に、あるいは特に関係なく、この日の日経平均株価は朝方の上昇からは大幅に伸び悩み、83銭高(0.00%)で取引を終えて、1年の終値は2万6094円50銭でした。

何とか2万6000円台を維持し、ぎりぎりでプラス圏

結局年間では2697円21銭(9.4%)下げ、年間では4年ぶりの下落となりました。1月5日に年初来高値(2万9332円16銭)を付けた後は、難しい相場が続きました。さっきも触れましたけど、ウクライナ危機もあったし、先進国の激烈なまで金融引き締めや、日本では元総理が凶弾に倒れる――と激動の連続だった割には随分と健闘したのではないか--。率直にそう思います。

年間で9%下落は健闘では?

来年も簡単ではない年だと思いますが、市場と向き合い、市場の声を聞いて、興味深いこと、面白いことの周囲をウロウロしたいと思います。

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