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日経平均30年4カ月ぶり高値 “意外高”の本質はXmas明け買い出動

12月29日(火)の日経平均株価は前日に比べて714円12銭(2.7%)高の2万7568円15銭。1990年8月以来、30年4カ月ぶりの高値を更新した。前日のアメリカ市場では主要3指数がそろって高値更新していたとはいえ、決して大幅高ではなかった。朝方寄り付き前の大方の見立ては(自分も含めて)「堅調、2万7000円台も視野に」といったところだったのでこの大幅高は一言でいえば“意外高”だ。

こういうことは市場にはままあるのだが、はっきりした買い材料にも乏しい。追加経済対策に否定的だったトランプ大統領があっさりと署名したのはすでに過去のこと。日本時間の朝方に、米メディアなどが「米下院が現金給付額を2000ドルに引き上げる法案を可決した」と報じたことは何がしかの買いを誘った可能性がある。この法案、600ドルで妥結しようとしていて、トランプ大統領もその額には不満だった。引き上げられそうだということなら、とりあえず短期的には株価がポジティブ反応してもよいとはいえるが、多くの市場関係者は「あくまで下院の話。そのまま2000ドルで上院も通過するとは考えにくい」と冷静だ。

東証一部の売買代金は2兆2000億円。商いがものすごく盛り上がっているわけではないが、ソフトバンクG、エムスリー、キーエンスといった日本を代表する大型株が2~5%近く、軽々と紙のように上昇している様子をみると、個人投資家がちょっとがんばっているだけとは到底考えにくい。日中通してじりじりと上がるような上げ方をみても「Xmas休暇明けの海外勢の一部がいきなり買いで動き始めた」(SMBC日興証券の太田千尋さん)といった見方が妥当だろう。アジア市場の中でも日本市場の上げが目立ったのは、大きな流動性を飲み込むだけの市場が他には見当たりにくいという要因も考えられる。2万7000円の手前では上値が重い展開が続いていただけに、節目を越えてきた瞬間からヘッジのための先物買いが加速した面もあるだろう。

一方の米国。給付額が2000ドルかどうかは別にして、追加経済対策、現金給付の継続も決まっているわけだから、今年活躍が目立った米国の短期投資家“ロビンフッダー”の懐もまた潤うことは確実だ。ある証券会社の情報担当者は「言葉は悪いが“あぶく銭が株式市場に流れ込んでいる”感は否めない」と表現していた。多くの人が違和感を抱いていることは事実だろうが、ある意味では“懐疑の中で育つ”という誠に相場格言通りの展開になっているようにも見える。

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