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一気に2万6000円近辺へ! スピード警戒も需給面では“若い相場”

びっくりするような上昇相場です。先週、米大統領選の不透明感後退に新型コロナワクチン期待が加わって日経平均株価が2万5000円台を29年ぶりに回復した思ったら、週初の16日(月)から521円06銭(2.05%)高の2万5906円93銭。91年6月以来の高値を更新しました。先週来のワクチン期待は続いており、景気敏感株中心の上昇という地合いは見て取れるのですが、正直言ってそれほど新しい材料があるわけではない。あるベテランの市場関係者は「動かないときはいやというほど動かないが、動き出すと本当に早い」ともらしていました。「ああ、いつものこと。たまに見掛けた風景だ」とは思っても「やれやれ……」という感じは否めません。

敢えて、材料らしきものを挙げれば以下のようになります。①ワクチン開発期待感からコロナ後の米国、世界景気回復期待が高まっている②朝方発表された7-9月期GDPが予想を上回る改善をみせた③中国の経済統計が良好なことなどからアジア株式市場が概ね堅調――といったところでしょうか?まあ、相場解説にありがちな話ではありますが、正直言って現状の相場を後追い的に解説している感が否めません。

それでもいくつか指摘しておいた方がいいポイントはあります。テクニカル面、特に上昇スピードへの警戒感が非常に強い一方で、需給面からはまだ相場が「若い」、まだまだ相場が始まったばかりのようにも見える――ということです。いうまでもなく、11月に入ってからの上昇ピッチはある種のスピード違反。例えばということですが、16日現在で日経平均株価と25日移動平均との乖離は8%を超えており、一般的に言って「特別警戒レベル」(SMBC日興証券投資情報部の太田千尋さん)です。

一方で、需給面では必ずしも過熱感はないという指摘が多いと思います。米大統領選前には動くに動けなかった資金がイベントを通過してグローバルに動き出している節があります。16日(月)日経CNBC、朝エクスプレス「マーケット・レーダー」にZoomでリモート出演した三井住友DSアセットマネジメントのチーフグローバルストラテジストの吉川雅幸さんも「高水準に積みあがっている米MMFなどの待機資金から、じわじわとグローバル株式、あるいは新興国債券などに資金がシフトしていくだろう」と指摘していました。“始まったばかり”なのです。

20.11.16 吉川さんIMG_0197

15日のnoteで紹介したように、日本市場ではNTTドコモへのTOB(株式公開買い付け)に応じた資金や、この時期ならではの配当再投資資金なども需給面での支えとみられています。ファンダメンタルズや理屈通りには動かないところも株式相場の株式相場たる所以です。

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