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下期マーケット大展望!――尾河・木野内・広木3氏が“リモート”大討論

7月6日(月)の夜エクスプレスは特別版「下期マーケットを展望」という鉄板テーマで、尾河眞樹さん(ソニーフィナンシャルHD・金融市場調査部長)、木野内栄治さん(大和証券・チーフテクニカルアナリスト)、広木隆さん(マネックス証券・チーフ・ストラテジスト)という豪華なゲストをリモートでつないで30分枠の特別番組を放送しました。

さてさて、3人の“マーケットの鬼”(=マーケットの達人)は2020年後半のグローバルマーケットをどう見ているのか?NYダウをイメージしてざっくり示してもらったのがこのチャートです。って、いくら何でもざっくり過ぎな気もしますが(笑)、分かりやすいと言えば分かりやすい。

20.7.6 IMG_0063(3人とチャートと直居)

みなさん比較的強気派に属する3人だとは思うのですが、もちろんニュアンスはそれぞれに違います。尾河さんと広木さんは一直線の傾きで年後半に向かって上昇していくのでその点では似ていますが、広木さんのほうが微妙に“より強気”です。尾河さんは「政策に支えられる要素は大きいけれど、コロナウイルスの問題などは“霧が晴れる”ようには解決しない」とみます。一方の広木さん、「これだけマネーがジャブジャブに供給され、加えて財政政策、あるいは追加のインフラ投資などもあるとするとすれば、株が上がらないと考えるほうがむしろ難しい」といいます。さて、木野内さんは年後半までちょっともやもやした展開が続いたあと、年末に向けて一気に角度を付けて上昇という見立て。上昇後の年末の到達点のイメージは広木さん、木野内さんともほぼ同じということが打ち合わせで分かったのですが、そこに至る経路が違います。木野内さんが重視しているのが11月に予定される米大統領選。「市場は民主党バイデン候補の勝利を徐々に意識している」というわけです。もちろん、結局は蓋を開けてみないと分からないわけで、それまではかなり“右往左往”振らされた後にようやく年末にかけて強さが鮮明になる――といったイメージです。

でも、心配ですよね?世界中でコロナ第二波が警戒されていて、景気も企業業績の行方もかつてなく不透明です。今回は視聴者の皆さんからいただいた質問を随時織り交ぜながら番組を進行したのですが、例えば<にゃんこりん>さんからは「マーケットは企業業績がコロナ前に戻るのはいつごろと考えているのでしょうか?」といただきました。みなさん2021年でもないのです――。2022年。「ただし、業種による違いは鮮明にある。そもそも企業業績で株式相場を説明できると考えるのも間違い」(広木さん)。尾河さんは「(企業業績や景気実態との)解離が気になるのは分かる。だからこそ政策や経済再開への期待感が株価を支えている」とみます。また木野内さんは「2022年にコロナ前の水準に戻るといっても2019年の水準に戻るだけという点には注意したい」といいます。もしコロナがなく、順調に業績が伸びていった場合の水準よりはあくまで下だということです。

比較的強気とはいっても新型コロナを背景とする不透明性、不確実性は依然として非常に強く、だからこそ金融政策、財政政策あるいは生産性革命などの要素が重要というポイントではみなさんの見方は一致していると感じました。

番組後半では、そうしたことをうけて金利や為替相場の動向についても話を広げました。尾河さんの専門領域です。尾河さんには株式の見通しチャートに加えて、ドル・円相場の見通しも矢印で示してもらったのですが、それがこれ。ちょっとすごくないですか?

YORU0706_0000_shimoki_kawase_yajirusi_01(尾河さんのチャート)

為替相場が動かない――。ドルも円も金利がほぼなくなってしまったことなどから、為替市場では少なくてもドル円に関する限りダイナミックな動きがみられなくなってきています。為替市場の専門家にはちょっと困った事態だと思うのですが、「日本経済全体にとってはよいこと」(尾河さん)でもあります。まあまあ堅調な日本株相場の一つの背景です。視聴者の<煮込みちゃん>さんからは「ドル円の今後を判断する指標を教えてください」という質問をいただきました。尾河さんは「特に米国の信用スプレッドの動きに左右されやすい」といいます。ドル、円が同じ方向に動きやすい状況だとはいえ、リスクオンなのか、リスクオフなのかが市場を揺さぶります。その点を嗅ぎ取る指標が例えば信用スプレッドということです。一方、木野内さんは「インフレ期待は米国の方がしっかりしている。今後財政なども積極化するようならさらなるインフレ期待の高まりもあるかもしれず、この観点からじわじわと“ドル安=円高”の展開になる可能性がある点には注意が必要」と指摘していました。

番組の最後に一言ずつ、改めて“マーケットの鬼”たちに下期相場をみるポイントを挙げてもらいました。
「大統領選の行方や米中対立の動向には要注意」(木野内さん)
「政策により中期的にはリスクが先送りされている点を頭の片隅にとどめたい」(尾河さん)
「コロナをきっかけに生産性革命が加速することを期待」(広木さん)
リモートゲストのみなさん、ご覧いただいたみなさん、ありがとうございました!

(直居のおまけ)ありがちなのですが、実は「番組前の打ち合わせやその後の控室が一番盛り上がる」ということがままあります。今回は直前の打ち合わせでした。打ち合わせももちろん、リモートでみなさんのご自宅と画面をつないで行ったのですが、尾河さんのお宅のワンちゃんが寂しくなって画面に登場したと思ったら、広木さんの家のワンちゃんも登場――。盛り上がっていると今度は木野内さんが「ではでは」とカメラを回し、そこに2匹のワンちゃんが!“マーケットの鬼”「3人の達人」には「ワンちゃん好き」という隠れた共通点がありました!(ちなみに僕は猫派)。


(もう一個おまけ)今回、広木さんは電話取材の予定がもともとあって、少し早めに抜ける予定でした。番組を見ていただいた方は分かるのですが、リモートの先の広木さんが途中で電話に出て「ちょっと先に失礼します」といって番組を去る場面があります。ここまでは「予定通り」だったのですが、僕がびっくりしたのはその後広木さんが電話を終えて戻ってきたことです。スタッフ<S>のところに「あっさり終わったから戻れるよ――」<広木さん>と連絡があり「じゃあ戻りますか――」<S>みたいなやり取りを経て、「広木さん、お帰りなさーい」<直居>と番組が続きます。まあ、普段あまりみかけない場面ですが、スタッフ<A>は「そこが一番面白かった!」とツボにはまっている様子でした。チャンチャン。

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