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【050】テレワーク住宅営業 住宅をオンラインで販売

文:荒川尚美(日経ホームビルダー)

 顧客と会ってじっくり話をしなければならない営業活動においてもテレワークが進んでいる。例えば家づくりや不動産売買に関する顧客との打ち合わせを、オンラインのビデオ会議ツールで行う建築・不動産関係者が増えている。「オンライン相談」「オンライン勉強会」などと呼ばれる方法だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、顔を合わせての打ち合わせやモデルルームでの営業活動が難しい状況が続いているため代替策として期待が高まっている。ビデオ会議がビジネスやプライベートの様々な場面で身近になっていることも建築・不動産業界での普及を後押ししている。

 住宅・不動産会社向けのデジタルマーケティングを手掛けるGluee(グルー)が注文住宅を手掛ける百七社を対象に二〇二〇年四月十六日から二十七日まで実施した調査によると「オンライン相談」を新型コロナウイルス感染症の流行以降に始めたという回答は全体の三十一・四パーセントに達した。それ以前から導入していたという回答は二・九パーセントにすぎなかった。

 対面での打ち合わせや営業を代替するにはビデオ会議ツールの使い方や説明方法に工夫が必要になる。

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 注文住宅の設計・施工を手掛ける、浜松市の足立建築は二〇二〇年四月から顧客との打ち合わせや相談のほとんどをビデオ会議ツールで行っている。オンラインの打ち合わせだけでも設計箇所の承諾を得るのに大きな支障はないという。
同社は緊急事態宣言発令前の二〇二〇年四月一日、自社のウェブサイトで「お客様との直接の対面を控え、ビデオ通話で対応させていただくことにしました」と伝えた。

 既存客はオンラインの打ち合わせに最初は心配そうだったが、すぐに慣れ、顧客のほうから「ビデオ会議でやりましょう」と言ってくるようになったという。

 同社の足立操代表は「顧客の多くは小さな子どものいる三十代、自宅で会って打ち合わせるよりオンラインのほうが便利だと気付いた」とみている。

 顧客から指定がなければビデオ会議のツールにはZoomを利用する。Zoomなら顧客がID登録をしなくても無料で簡単に使える。一つの会議の参加者を幾つかのグループに分ける機能もある。足立建築は三人以上のビデオ会議を二十四時間まで開催できる有料プランに登録している。

 Zoomで顧客と打ち合わせる場合、パースや図面などの資料をZoomの画面共有機能を使って顧客に見せながら説明する。顧客から要望や質問があれば、その場で答える。

 三次元モデル作成ソフトの「SketchUp(スケッチアップ)」で作図した様々な角度からのパースをZoomの画面共有機能を使って顧客に見せている。足立建築は同社がつくる住宅の標準仕様を定めており、進行中の顧客はおおよそ理解している。その上でパースを使って設計内容を説明する。

 Zoomを使うようになっても打ち合わせの進め方自体は従来と変えていないが、モニター越しなので顧客と互いの考えが伝わりにくいことを想定し、画像共有サイトPinterest(ピンタレスト)も使い、ビジュアルイメージも多用している。

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