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シリーズ 恋愛研究所 愛の刺客


ある日の朝

しばいたろか博士の恋愛研究所は、今日も活気に満ちていた。朝のコーヒーの香りが漂い、研究助手の美奈が笑顔で挨拶をする。
「おはようございます、博士!」
「おはよう、美奈。今日も忙しくなりそうだな。」博士はコーヒーを一口飲みながら答えた。
「そうですね、今日は予約がいっぱいです。でも、最初の相談者はちょっと変わった人みたいですよ。」
「変わった人?」博士は眉をひそめた。
「はい、自己紹介のメールに『愛の刺客』と書いてありました。」美奈は苦笑いを浮かべた。
「愛の刺客か…興味深いな。」博士は少し笑いながら答えた。


初対面

研究所のドアが開き、入ってきたのは30代半ばの男だった。彼は高身長で筋肉質、端整な顔立ちをしているが、その眼差しはどこか挑戦的だった。
「こんにちは、しばいたろか博士。私は愛の刺客、桜庭司(さくらばつかさ)です。」男は礼儀正しく頭を下げた。
「愛の刺客?面白い肩書きだな。」博士は興味津々で彼を見つめた。「一体どんな相談をしに来たんだい?」
「博士、私はあなたに挑戦状を叩きつけに来ました。」桜庭は真剣な表情で言った。
「挑戦状?」博士は驚いた。「詳しく聞かせてもらおう。」
「実は、私も恋愛研究家でして、あなたの研究に興味を持っています。しかし、あなたの方法論に異を唱える者でもあります。」桜庭は冷静に続けた。「私たちの間で、どちらが真の恋愛の達人かを決めるために、勝負をしたいのです。」
「なるほど、恋愛に関する知識と経験を競い合うというわけか。」博士は微笑んだ。「面白い提案だな。」
「ありがとうございます。勝負の内容は、リアルな恋愛相談でどちらがより良いアドバイスを提供できるかです。」桜庭は自信満々に言った。


最初の相談

二人の勝負が始まった。最初の相談者は、20代後半の女性、菜々子(ななこ)だった。彼女は長い髪を揺らしながら、緊張した面持ちで話し始めた。
「こんにちは、しばいたろか博士、桜庭先生。私は最近彼氏との関係で悩んでいます。彼が仕事で忙しくて、私と過ごす時間が少なくなってしまって…どうしたらいいでしょうか?」
「それは辛いね、菜々子さん。」博士は優しく答えた。「まずは、彼の仕事の重要性を理解しつつ、あなた自身も自分の時間を楽しむ方法を見つけることが大事だと思う。例えば、新しい趣味を始めたり、友達と過ごす時間を増やしてみてはどうだろうか?」
「なるほど、それも一理ありますね。」桜庭は頷きながら、「しかし、菜々子さん。あなたの寂しさは当然のことです。彼にもっとコミュニケーションを求めることも必要です。彼が忙しい時でも、短いメッセージや電話で繋がることで、お互いの距離を縮めることができるはずです。」
菜々子は考え込んだ。「どちらのアドバイスも良さそうですね…」


勝負の続き

次の相談者は、中年の夫婦だった。結婚して20年になるが、最近はお互いの存在が当たり前になりすぎて、新鮮さが失われていると感じているという。
「20年も一緒に過ごしていると、どうしてもマンネリ化してしまうものだ。」博士は笑顔で言った。「新しいことに挑戦してみるのはどうだろう?一緒に旅行に行ったり、新しい趣味を始めたり。お互いに新しい一面を見つけることで、再び新鮮な気持ちを取り戻すことができるはずだ。」
「確かに、旅行や趣味は良いアイデアです。」桜庭も頷いた。「しかし、お互いに感謝の気持ちを言葉にすることも忘れないでください。毎日の生活の中で、小さなことでも感謝を伝えることで、お互いの絆はさらに強くなります。」
夫婦は互いに顔を見合わせ、微笑んだ。「ありがとうございます、どちらのアドバイスも取り入れてみます。」


一日の終わり

数々の相談を受けた後、日が暮れ始めた。博士と桜庭は研究所の一角で談笑していた。
「今日は良い勝負だったな、桜庭さん。」博士は笑顔で言った。
「ええ、博士。あなたのアドバイスは本当に的確で、学ぶことが多かったです。」桜庭も笑顔で答えた。「しかし、勝負はまだ終わっていませんよ。次回も楽しみにしています。」
「もちろんだ、またいつでも挑戦しに来てくれ。」博士は手を差し出し、桜庭と握手を交わした。


美奈との会話

その後、美奈が研究所に戻ってきた。「博士、桜庭先生と良い勝負でしたね。」
「そうだな、美奈。彼のアドバイスも素晴らしかった。」博士は笑顔で答えた。
「でも、博士のアドバイスは心に響くものが多いです。私は博士を応援していますよ。」美奈は照れながら言った。
「ありがとう、美奈。君の応援があるからこそ、私は頑張れるんだ。」博士は優しく彼女に微笑んだ。


結び

しばいたろか博士の恋愛研究所には、まだまだ多くのドラマが待ち受けている。愛の刺客、桜庭司との勝負も続く中、博士は今日も新しい恋愛の悩みに立ち向かう。
次回もお楽しみに。


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