制度疲労をおこしている精神保健福祉法の極み
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制度疲労をおこしている精神保健福祉法の極み

西脇健三郎(ニーケン)

2022年3月17日の医療福祉ネットニュースで『医療保護入院廃止・縮小に向け「入院期間法定化」厚労省が検討の方向提示』と・・・。週明けの22日には共同通信が同様の報道を行っている。何だ!これはと、厚労省のHPを検索してみた。『地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会』と長ったらしい検討会が最近行われているらしい。公開されている資料、議事録に目を通してみた。また、何だ!これはだ。検討会の構成メンバーは医療、福祉、人権擁護団体等々からなる25団体の代表で構成されている。検討会の中身についても、何だ!これはだ。つまり、歴史的に、「社会復帰・開放化」、「地域移行・精神科救急」、「地域定着事業」等々がうまくいかず、未だ日本の精神科病床が30万床のまま!これを何とかしたいらしい。そこで、医療保護入院(強制入院)をなくしましょう、と。何だ!これはだ。厚労省はじめ、この検討会に参加団体の多くが、1987年に成立の精神保健法(現:精神保健福祉法)の目玉であった『任意入院』を疎かにしていました、といった声明をこの長ったらしい「検討会」でとりまとめるってことでしょうか。

因みに当院も精神科病院である。よって、医療保護入院、措置入院も受け入れている。もちろん、精神症状に伴う問題行動が生じた場合、法の手続きを踏んだ上で、躊躇なく「隔離」、「拘束」は行っている。ただ、当たり前のことだが任意入院に努めてきた。よって、入院形態の約90%は任意入院である。結構大変だが当事者と真摯に向き合い、治療契約を取り付けるプロセスは精神科医、他職員のスキルを高めると信じてやっている。結果、この30年余りで3分の2に病床を削減できた。つまり、1987年改正の精神保健法に従い「任意入院」重視を貫いていたら、何も「船頭多くして山に登る」といった今日の検討会は要しなかったのでは思う。多分、全国の精神科病床は、取り敢えずは20万床に・・・と。とくに精神科救急制度はいけない。入院料3倍で・・・、検討会の資料でもふれている「統合失調症のモデルが通用しない、認知症等その他のモデルについても考慮が必要ではないか」と。おっしゃる通りだ。でもこれを書いたらお終いだよ。厚労省は、第7次医療計画(2017年)で「多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築」とおっしゃってなかったかな??もうすでに精神科の疾病構造が大きく変化して久しい。私はあまり人権、人権と言うのは好きではないが、これは「・・・考慮が必要・・・」どころか人道上の問題ではないか?何だ!これは・・・と。これらの件に関しては長年問いかけてきた。そして、昨年から今年にかけ小論3本にまとめてみた。ブログにも掲載してきている。お時間があえばご再読いただきたい。

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西脇健三郎(ニーケン)
精神科医/食べ歩き、読書、映画鑑賞/好き本:ちょっとピンぼけ(ロバート・キャパ)、黄昏流星群/最悪を覚悟して最善を尽くす/2009年~2014年までブログやっていましたが、古希を過ぎてまた始めます。