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マイナンバーカードと健康保険証との紐づけは、国民の健康情報の共有化に寄与するのか?

国は今、薬剤情報の活用(電子処方箋)、カルテ情報の共有化(電子カルテ)を図ることで、国民に良好な医療健康情報を提供できるとマイナンバーカードと健康保険証との紐づけを急いでいる。
だが、私の知るところでは、21世紀初頭より国は医療情報の共有化(標準化)事業のため、別途工程を組んでいたはずだが・・・。
以下、私が知る情報・・・
厚生労働省は電子的診療情報事業の普及を図るとして、
 2007年 「保健医療情報標準化会議」を開催。取り決めは以下の通り・・・。
◎電子カルテ情報の共有
▼全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とする目的
★全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とすることで、医療機関等同士などで入退院時や専門医・かかりつけ医等との情報共有・連携がより効率的・効果的に行われ、より質の高い切れ目のない診療やケア、災害等の緊急時における利用等を可能とする。
★国民・患者の医療情報について本人自身による活用を可能とすることにより、個人の健康維持等につなげる。

▲補足:さまざま基盤から発信される情報を蓄積、同時にそれを標準的な情報として編集できる「標準化ストレージ」といった概念を基に、全ての医療機関を対象とした医療情報の共有を目的とした「厚生労働省電子的診療情報交換事業(SS-MIX)」を開始、その情報の共有可能な電子カルテは全国全ての医療機関に必須であるとした。(資料1)

【資料1】2007年厚生労働省「保健医療情報標準化会議」

▼よって、厚生労働省は同時期より、SS-MIX対応の電子カルテ設置を目的とした補助金事業を開始。当院はその補助金を受け2010年にSS-MIX対応の電子カルテを導入、設置している。

報道 讀賣新聞2013年8月4日付一面トップ(資料2)
「患者情報 全国で共有 医療機関結びネットワーク 治療・投薬歴など 
18年度にも・・・」

【資料2】讀賣新聞2013年8月4日付一面トップ

そして、コロナ禍を経て
厚生労働省HP【令和5(20233月29日】
①交換する電子カルテ情報および交換方式の標準化
②全国的に電子カルテ情報を交換・共有するための仕組み
③本仕組みの運用主体や運用開始時期
   ➥2023年春に策定される工程表の内容を踏まえた上で判断する、と。         

●報道 CBニュース2023年12月14日20:25 
標準型電子カルテ、無床診療所で先行開発2段階で普及目指す 厚生労働省
12月14日に開かれた第1回標準型電子カルテ検討ワーキンググループで・・・
2024年度中に開発着手が予定されている「標準型電子カルテ」について、電子カルテを導入していない医療機関のうち、~無床診療所で~~共通の診療行為を想定・・・。(略)
標準型電子カルテα版(試行版)」「本格版」の2段階で進めていく考えを示した。開発を先行させる~~無床診療所はα版に位置付け、ここで本格版に向けた機能・導入の検証を実施。
主に▽全国医療情報プラットフォームとの連携機能▽標準型電子カルテとして提供する基本機能の観点から検証する。(略)
標準型電子カルテを巡っては、政府の医療DX推進本部が6月に公表した「医療DXの推進に関する工程表」に、23年度に必要な要件や定義などに関する調査研究を行った上で24年度中に開発に着手すると明記。また、30年にはおおむね全ての医療機関で必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すとされている。(以上要約・・・以下略)

まとめ 
★印を再読いただきたい。国民に良好な医療健康情報を提供できるDXとは、健康保険証紐づけのマイナンバーカードより先に、紆余曲折はしているが「標準型電子カルテによるネットワークシステムの構築」が必須である。・・・工程表がかなり目詰まりと先送り、先送りになってきたが・・・とにかく、まずは「標準型電子カルテ~~ネットワークシステムの構築」を行い、それからマイナンバー~紐づけでは、と思うのだが・・・?

余談①
当院が2010年「標準型電子カルテ」を導入当時、精神科医療機関の立場で企てていたこと。「標準型電子カルテによるネットワークシステムの構築」を前提とした上で・・・(資料3)

【資料3】2010年「精神科病院の地域診療情報連携における役割」

余談②
もし、報道(讀賣新聞2013年・・・付)の如く「患者情報~全国で共有~~18年度(2018年度だよ、令和18年度じゃないよ〈微笑〉)にも~」が実現していたら、この約3年数ヵ月(2019年~2023年)に及んだ【コロナ禍】の風景は異なっていたに違いない。私たちの【日常生活】も国の【予算規模】でも・・・・・・。

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