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2024年精神保健福祉法改正も、やはり時代遅れ

2024年精神保健福祉法 改正のポイント(2024.4.1施行)
医療保護入院の見直しとして

「医療保護入院の入院期間は、入院当初3ヶ月で精神科病院機関ごとに入院要件を確認、更新の届け出。・・・」となっている。

では入院から3ヶ月以内ならやりたい放題なのかな?

精神科救急(スーパー救急)病棟からの患者

ここで2012年から私が関わりを続けている患者を紹介したい。
当時、離脱症状が出現した女性のアルコール依存症者が精神科救急入院料病棟に入院となった。入院形態は医療保護入院(非自発的入院)である。もちろん、人権擁護の観点から、「精神医療審査会」で書類審査が行われている。審査結果は要医療保護入院であった。
手続きのうえでは特に問題はない。ただ通常、離脱症状が出現した場合のその後の持続期間はほぼ10日程度である。彼女も10日後には離脱症状は消褪した。本来、ここで医師(精神保健指定医)は、医療保護入院から任意入院(自発的入院)への切り替えを行い、かつ彼女に対して、その後の入院継続あるいは退院の選択の意思確認を行うべきである。だが、彼女の場合は、医師が手厚く配置されているはずの病棟に入院していたにもかかわらず、そのような確認はなく、しっかり90日間入院することになった。
退院後、当院に来院、以来約10数年間外来通院を続けている。ただ、通院から数カ月ほど経過した時期に反復性うつ病を重複していることが判明した。うつ状態が深刻になるたびに薬剤調整等を目的としたレスパイト入院を促してきた。だが、精神科救急入院料病棟におけるつらい入院体験を抱える彼女は、今も周期的に襲ってくる深刻なうつ状態のときも頑なに入院治療を拒み続けている。幸い、繋がりを持てた仲間との交流の中で日常生活には支障はない。
最近、そんな精神科救急入院料病棟より、依存症疾患に限らず、解離性障害、発達障害等々の診断が下され、ただ90日(3ヶ月)間非自発的入院処遇、そして退院となり当院に繋がる患者が増加している。彼らは当院初診後、改めて新たな診断を想定し、手間ひまかけて関係の構築を試みることになる。もちろん入院、外来いずれの場合も任意契約下で行っている。
いや、待てよ1987年精神保健法改定で「任意入院に努める」となってなかったか?
何故ここで、入院当初3ヶ月の医療保護入院(3ヶ月間なら医療保護入院は容認なのかな?)にこだわった法改正が必要だったのか、納得がいかない。

3ヶ月入院期間の根拠とは??

色々調べてみた。
『アルコール中毒-物語風』(五月書房 なだいなだ著 1992年)の中で、

「何故一律、三か月にしたか。理由は簡単だ。年間入院希望者の数をベッド数で割ったのだ。まったくの機械的な算出である。これなら計算上、年間に入院したい患者をほとんど待たせずに、全員入院させることができる。いろいろ検討した結果、三か月が治療上適当だという結論に達したわけではなかった」

『アルコール中毒-物語風』(五月書房 なだいなだ著 1992年)

と。なるほど、病床を常に埋める目的、つまり経営上重要だと理解してもいいのだ・・・。

なだいなだ:
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AA%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%A0

Wikipedia

「精神科救急入院料(スーパー救急)病棟」は、「入院期間3ヶ月(以内)、年間の入院患者は6割以上が非自発的入院であること」の要件を満たすことで、精神科において最も高額の入院医療費が請求できる。だからだね、「スーパー救急病棟」に勤務する看護スタッフが口にする「3ヵ月以内」ではなく「3ヵ月の縛り」といった表現、それは治療的、人権とやらとは関係ない経営上の理由からなんだ。

精神科疾病構造の変化から、それは時代遅れに!

2023年10月16日、概ね精神科救急入院料病棟を有する精神科病院で構成されている日本精神科救急学会が声明文を出した。(https://www.jaep.jp/2023seimei_1.html)その声明文では、「~人権擁護を基調としており、一定割合の非自発入院を要件とするケアシステムは許容されない。」、「~ケア対象に一定の重症(略)を求める(略)入院形態を代用する考えは時代遅れ~」だ、と・・・。つまり「精神科救急入院料(スーパー救急)病棟」は時代遅れだ、と・・・。
精神科疾患の疾病構造は変化したと言われて久しい。(資料1)

資料1

地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_322988_00011.html

そうだよね、依存症、気分障害等の「精神保健(メンタルヘルス)上の課題を抱えた方」の治療、回復のあり方も精神保健福祉法に盛り込まないと片手落ち、時代遅れだ


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