雪の神戸もいいもんだ
何年振りかの雪が降りました。
朝はそんな気配もなくいつもどうりの散歩でしたが…。
お昼前になって急に降り出し、この迎賓館も雪が右に左に飛ばされている中、静かにたたずんでいます。
いつもの品のある館が今日は寒さで一段と厳かです。
公園を散歩する人もなく、うしろの山は白くかすんで、ふぶいているのでしょうか?雪が舞っているようにも見えます。
私たちには珍しくてうれしい雪景色ですが、大雪の地方で暮らす人にとっては、長くて春が待ち遠しい毎日かもしれません。
残念ながら、数時間だけの舞いになりました。サーと幕が開かれたように急に明るくなって、温かい太陽の光が差し込みます。
私の小さなころは神戸にも結構な雪が降りました。
朝起きて庭が真っ白に輝いているのを見ると飛び出さずにはいられません。
秋田犬のフジの梅の花みたいな肉球の足跡がはっきりと押されていて最初は真っすぐにあったものが、だんだんフィギュアスケートの選手が滑った後みたいにいくつも円ができて、一斉に咲いた白い花みたいでした。早く早くとこちらを見て尻尾を振っています。いつもより嬉しそうです。
小さな雪だるまはなかなか固まらず、「中に石を入れたらいいんだよ!」と従兄に教えてもらいました。小さめの形のいい石を探してきて、ゴロゴロ雪の上を転がしてお団子みたいに固めると、できました!小ぶりのスノーマン。
学校から帰るとほぼなくなっていて、目や口に使った枝や木の実と石だけがそこに存在していたことを証明しています。
残念と言うよりあっさりした神戸っ子たちはそそくさと部屋に入って、こたつに入って遊びます。朝の姿を知っているのは私だけ!
もうすっかり朝の雪景色はどこかへ飛んでいったようです。
夜は寒い日の定番のお鍋です。小さなころはあまり好きな夕食ではありませんでした。が、今になって鍋物の良さが分かるようになりました。シンから冷えている証拠です。
「湯気もごちそう!」と父が言ってました。「野菜がたくさん食べれていいね!」と母は言いますがそんなにありがたいことではなく、〆の雑炊は必ず最後に溶き卵。いったん蓋をして蒸らすとふあふあの卵が、ご飯を隠しています。それだけを楽しみにしていた気がします。
もうすっかり暗くなった庭はしんしんと音もなく雪だけが、舞っています。
大きな犬小屋では隙間風が寒かろうと祖父が丁寧に敷いた毛布にくるまって、フジはおとなしく寝ています。
今、私の足元にはニケが、ぬくぬくとストーブの傍で、あたまをなでると熱いと!思うほど近寄って、目をつぶって船を漕いでます。
今夜のうどんすきは柚子胡椒を少しのっけて、大人の味になりました。
今からカーリング!可愛い乙女たちの熱戦を楽しむことにします。
庭の雪はすっかりやんで、寒さだけが残った夜になりました。