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ジェットコースター人生 その29

仕事が1つになったことでフットワークもよくなり頭の中の引き出しも整理されたようにすっきりしました。

初めての営業活動は、慣れないこともありほとんどが名前の知られていない会社の製品を使うことはあり得ないという反応でした。

その中には、若い店長もいてさげすむような態度を取られたこともありましたが、致し方のないことだと思いつつ、もしもいつかオファーがあっても「お断り」と気持ちは強気な私でした。

ある時大きな見本市の話が来ました。「新しい商品をみんな探しているよ。

面白い商品だから出してみたら?」すぐにも飛びつきたいお話でしたが、その会場のブースを借りるのに、びっくりするくらいの費用が掛かります。

これでもし一つも契約がなければ,,,と思うと躊躇するのが普通ですが、

突破口にするには良い機会と少ない資金の中からひねり出して参加を決めました。

会場は名だたるエステ会社や、健康関係の会社。ブースのレイアウトも洗練されていてこの業界で私は小さなありんこみたいに見られているのだろう

と少し気後れしました。見本市は2日に渡ってありました。広い会場なので1日では網羅できないので同じ会社が、次の日も来るそうです。

見本の小さなチューブを通りかかった人に渡すだけで精一杯でした。

中には立ち止まって、話を聞いてくれてもなんの手ごたえもない様子でした。やっぱり時期尚早だったかもしれないと夕日が赤く染めるビルの谷間をとぼとぼと歩いたのを覚えています。まだ明日がある。「こんな弱気でどうするの!」と自分を鼓舞してドーナツをいつもより多く買って帰りました。


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