違う色の積み木をつんでいる　～宮田笙子選手のこと～

なにか“問題”が起きると、いろんなコメントが出てくる。
特にSNSでは「言い逃げ御免」のポストであふれる。
昔のネットスラングでいえば「祭り」の状態だ。

今回の宮田笙子選手の喫煙・飲酒問題に限った話ではない。
ほんの２週間前の東京都知事選では、小池・石丸・蓮舫で「祭り」が行われていた。都知事選後も、落選した石丸伸二のテレビマスコミへの対応で賛否で「後夜祭」が行われていた。
で、今は祭りが終わった。誰も語っていない。YouTubeでも、その話題はされない。笑っちゃうぐらい、パタッとなくなった。まさに“現金”なものだ。

都知事選の最中、僕は報道やいろんな陣営の話、各々の陣営の“ファン”の書き込み・ポストを見てみようと思い、見て、読んだ。
そして、「コメント酔い」をした。候補者より、支持者の方のコメントの方が、胸焼けがする。悪い酒だ。だから僕は途中で見るのを止めた。

お酒繋がりな感じになってしまうが、宮田選手の話に戻る。
今回もいろんなコメントがあふれている。
都知事選の時に懲りたにも関わらず、自分はまたそのコメントの海に飛び込む。
そしてまた酔った。
なんでだろう？

そのコメントの論理（というか話）の展開に違和感が多いのだ。
繋がっているように「見えてしまう」
でもよく読めば、「違う色の積み木」を「同じ色」として集めて、積み上げた論理（というか話）をしているのだ。

きちんと「色」を見ていかないといけない。
いまある「積み木」は

①宮田笙子選手は、パリ五輪で体操種目の日本代表
②彼女は１９歳
③彼女は都内で喫煙、強化合宿所で飲酒をした

宮田選手にまつわることで、現在分かっていることはこれだけだ。
他は憶測に過ぎない
それとは別の色の「積み木」は

④日本では未成年（２０歳未満）は、喫煙・飲酒は禁止されている

この④の積み木を①②③の積み木の上に積んで、その「積み木の全体の形」を見て、

⑤パリ五輪出場する
⑥パリ五輪出場しない

どちらの積み木が、うまく積めるのか、みんな考えている。

――わけではない。

⑦タバコを吸うなんてけしからん
⑧宮田選手は日本体操選手のエース
⑨ルールは守れ
⑩ペナルティが厳しすぎる
⑪やり直しがきく世界に！
⑫いや！　体操選手のピークは短い！　４年後はピークを過ぎている！

――といった「別の色の積み木」を⑤⑥の間に積んでくる。

特に「タバコ」ということには世間は敏感だ。
また吸ったのが「アスリート」というのも拍車を掛ける。スポーツ選手がタバコを吸うなんて考えられない、みたいな積み木もある。
実際、飲酒より喫煙の方が嫌悪感が高い。「飲酒」と「喫煙」の“罪”は同価値ではなく、喫煙の方が世間の風当たりは強い。飲酒はイエローカード、喫煙はレッドカードぐらいの差がある。
例えば２０歳以上の有名人が「酒」を飲んでもイメージダウンにはならないが、「喫煙」はイメージダウンになる。
もっと分かりやすいところだと、テレビCMでお酒は飲めるが、タバコは「タバコそのもの」を映すこともできない。

２０歳未満の人が飲酒喫煙しても、その人に罪はない。
その２０歳未満の人を保護・管理している人に罪がある。

ではなぜ、タバコを吸って高校退学処分になる場合があるのか？
それはその高校が「タバコをすったら退学」というルールが作られているからだ。
宮田笙子選手の話に戻って。
今回の問題は、日本オリンピック委員会のルールに則って、処分をすればいい。今回のようなケースを考えていなかったとしたら、出場資格・取消のところに今後明文化するべきだろう。

――どうですか？　みなさん、僕の文章を読んで「コメント酔い」しましたか？

僕が書いた文章も、「僕の色がついた積み木」なんです。
「２０歳未満の人が飲酒喫煙しても、その人に罪はない」以降のくだりは、明らかに別の色の積み木だというのはわかると思います。
宮田選手の件に関しては①②③だけが、オリジナルの積み木なんです。

まだしばらく、祭りは続きそうです。
僕はこの祭りから離れます。車酔いを治すには、車から降りるのが一番です。