あなたに向けて書きたい
「鎌倉うずまき案内所」を読みました。
この本の「あなたに向けて書いたんです」にやられてしまいました。
小説を読んだ人なら誰でも一度は経験があると思いますが、「自分に向けて書かれた本だ」と錯覚するあの経験。
その先が描かれていました。ぼくはずっとこの経験を読者側の錯覚だと思っていたのですが、違いました。
著者もまだ見ぬ誰かもわからない誰かのために書いていて、その誰かに届く経験は著者にとってもかけがえのない経験なのだと思います。
だからこその「あなたに向けて書いたんです」だよなぁとしみじみ。
これはぼくが書く理由にもつながっていると感じています。
ぼくはずっと前から
・言いたいけど言えない
・モヤモヤするけど言葉にできない
・違和感があるけどやり過ごしている
こんな生き方をしていて、そんな自分を助けるために書きたい、と思っています。
(全然進んでないし、日記すらちゃんと継続できてないですが)
この、助けたい自分、というのはとどのつまり助けられたい誰か、でもあるとも考えることができます。
「親切は人のためならず」のひとつの意味、「親切なことをするのは人のためではなく、自分のためである」の方と同じ意味ですね。
ぼくはぼくのために書くけれど、きっとそれは「あなたに向けて書いた」ことと同じだと思います。
これまで小説には、偏った価値観やうまくいかない現実を大きな包容力を持って肯定してもらっていました。
だからこそぼくもぼくの物語で人を肯定したい。強くそう思います。
ああやって書かれてしまうと、本当に書くことから逃れられないですし、ぼくの道は書くことにしかないと思ってしまうので困ってしまいますね。
とても良い本でした。
それこそ人生をぶっ飛ばすくらいの力のある最高の本でした。
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