お勉強411:ICIでのオリゴプログレッションに放射線治療

https://www.clinical-lung-cancer.com/article/S1525-7304(23)00184-5/fulltext#

要注目論文
非小細胞肺がんのICI後の再発形式と
オリゴプログレッションに対するRTの意義についての報告

免疫療法の再発形式に関してはイマイチよくわかっていないよう
今回は単施設(ペンシルバニア大学)の報告。
転移のある非小細胞がんでdriver mutationはないものが対象

2015~2021に1st lineに
ペンブロを使ってた(ケモ併用・非併用両方含む)
症例の進行パターンを以下に分類
1)局所・領域・遠隔
2)既存病変の悪化・新規病変・その両方

オリゴプログレッションは進行部位三個以下と定義

298例が該当 年齢中央値は67歳
男女はほぼ1:1 腺癌が8割 PD-L150%以上は38%
初診時にほとんど多発病変患者
転移として多かったのは骨・肺
ケモは65.4%で併用 投与回数中央値は9サイクル

198例が進行した
遠隔転移が43.9%、
領域と遠隔の合併が34.4%

新規病変と既存病変の両方45%
既存病変のみ33.3%
新規病変のみ21.7%

オリゴプログレッションに該当したのは39.9%
いわゆるリピートオリゴプログレッションが4割
induced オリゴプログレッションは6割
肺・骨・領域リンパ節の順で多かった

オリゴプログレッションに該当したひとはペンブロを中央値16サイクル
受けていた(ポリプログレッションの人は6サイクル)
(ちなみに癌性心嚢水・胸水のようなものは全部多発扱い)

OS中央値に関しては
局所のみ・遠隔・両方で
39.1/17.4/14.3か月で局所のみがOSが優位に長かった

既存病変のみの進行が
新規病変
新規病変+既存病変の進行より
有意に予後が良かった(mOS:28.7/20.2/13.9か月)

オリゴプログレッションとそれ以外では
35.1か月vs.12.2か月で
オリゴプログレッションのほうが優位に予後が良かった
(そもそもオリゴプログレッションになる人は進行までの期間も
 8.7か月vs.4.7か月で長かった)

オリゴプログレッションは
全身療法を変更(ICIつかったかは?)
もしくはRT以外の局所療法した群と、
オリゴプログレッションにRTをした群(約1:1)
とで大きく差があった(HR0.35:P<0.001)
22.9か月vs.62.2か月
進行後の生存も長かった。
(10.1か月vs.35.2か月)
RTのBED10の中央値は65.1(SBRTとは限らない)

結論としては

ICI後の進行としてオリゴプログレッションは
まれではなく、ポリプログレッションより予後が良く
オリゴプログレッションにRTすることで
予後の改善が得られる可能性があるという結論
(もちろんこれは後ろ向きコホートで
 III相試験待ちであるのは言うまでもない)

個人的にはオリゴプログレッションなら
ICIはよく効いていたわけなので
わざわざよく効いている薬を変えるよりは
効かなくなったサブクローンだけたたく、
というのは極めて有効と考えている。

ICIやTKIという
「長期によく効く薬」が使われる時代になって
オリゴプログレッションへの局所治療は
欠かせない手段となってくると思います。

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