ESTRO school行ってきた。(前編)

日本放射線腫瘍学会(JASTRO)と欧州放射線腫瘍学会(ESTRO)
は教育について提携を結んでいるらしく
今回は肺がんに関しての教育コースが行われたので参加してきた。

3日間みっちりの会であったので疲れたが、
知識の整理に非常に有効であった。

今回は放射線治療以外の話を中心に。

<腫瘍内科とのパーソナルコミュニケーション> 

でのアミバンタマブについて。
かなり期待されているよう。ファーストラインとして
使う場面(Exon20変異とか)

セミナー終了直後

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2403614

の論文も出てますが、
オールカマーでオシメルチニブにとってかわるかなど
はコストなどから考えて疑問符と。
副作用の管理なども含め、今後議論の余地があると。

オシメルチニブとラゼルチニブについては
データがないので、アミバンタマブにオシメルチニブは
やはり使い難く、アミバンタマブにはラゼルチニブ
のセットになるであろうと。
(でも実際のところ大きな差はないと思うとも)

・「IV期は治らない」と講演ではいっていたが
 実際のところテールプラトーな人はいる。
 どう説明しているか?

非常に難しい話。
実際長期生存の人も見ているし、
患者さんに希望を失わせない説明が必要。
「治る」というのは語弊があるかもしれないので
この薬で長期制御されている人がそれなりにいる
ぐらいのニュアンスで話している。

どのくらいで止めるのか、というのも
個人的課題。昔は(その先生の国では)
2年しか使えなかったが
最近ずっと使えるようになった。
基本的にはエビデンスベースでは2年、
というのが一つの止め時ではあるが、
結局患者とSDMして決めている。

なにも再発無い人は、2年のところでSDMしている。

途中でオリゴメタ出てきて局所治療で
持たせた人などは2年以上使っていることが多い。

・そもそもそういう人たちは腫瘍が
 免疫療法で「全滅」しているのか?
 それとも、平衡状態に至っているだけなのか?

非常に難しい問題だけれども
ずっと再発無く過ごしていた人が
別の病気で亡くなって、剖検したら
癌の細胞は残っていたことがある。
一部の人は「全滅」しているのかもしれないが、
実際には「平衡状態」の人が多いのかもしれない。

・タルラタマブ

結構期待されているが、CRSやICANSに
注意が必要な点が今後問題点と
考えている。10㎎アームではほとんど
臨床試験では出ていないが、
実臨床では出そうなので、
CAR-Tの管理から学ぶものはあるかと
テイルが出そうな雰囲気なのも期待点

・ADRIATIC試験

非常に重要な試験。
個人的に興味があるのは
NSCLCとSCLCでICIの効果には結構差があるのに
この試験ではPACIFICとあまりHRが変わらないのに
注目している。
CRTでの免疫賦活はある程度あるのかもしれない。
SCLC-I以外の群に働いて、免疫賦活している可能性。

以下徒然
・普段今日のお勉強で取り上げていた論文・テーマが
 非常にたくさん取り上げられており、
 自分が普段取り上げている論文・テーマは外しておらず
 ちゃんと役に立っている(自分には)ということを
 再認識。えらいぞ俺。

・一方外科の基本の話や、昔話は勉強になる。
 一番ヘッドの先生は駆け出しのころCoとベータトロン
 しかなく、背面からの照射はできなくて、
 患者さんをうつぶせにして照射していたとのこと
(背面にもマーキングしていたらしい)

・そのころの成績は惨憺たるもので、今のような発展は
 まったく想定していなかったとのこと

・どこの国でも経済・保険ドライブな治療は変わらないよう
 フランスでは日本同様1Frごとの支払いなので
 いまだに25Frとかやっているらしい。UKは5Frと

・とにかく薬価が高すぎるのは本当にみんなどうかしないと、
 と思っているし、(腫瘍内科医も)
 製薬会社主導でしか大規模臨床試験ができないのもつらい。

とりあえず、第一回感想はここまで。
また続きを書きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?