お勉強463:TKIのオリゴプログレッションにSBRTを上手に使おう

https://www.advancesradonc.org/article/S2452-1094(24)00079-4/fulltext

オリゴプログレッション(OPD)に対する放射線療法は
注目されているが、その中でもdriver変異のある
症例に対するOPDへの治療の報告
EGFR/BRAFV600E変異、ALK/ROS1/RET再配列 群が対象
それぞれのチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)でOPDが見つかり、
放射線治療を受けた患者のレトロスペクティブレビュー。

フォローは基本3か月おきのCT
頭部はMRIを(転移があるかないかなどに合わせて)4~6か月おき

OPDは、5部位以下の治療による病勢進行と定義。
外照射は15回以下。頭の定位照射や全脳照射もOKのよう
PFS1(無増悪生存期間1)は、
TKIを含むレジメンの開始から
OPDに対する放射線の開始まで。

その後のPFS期間(すなわち、PFS2、PFS3など)は、
前回の放射線治療から、
その後の放射線治療、
全身療法の切り替え、
死亡、追跡不能のいずれかのイベントが発生した期間

Extended-PFSは、最初の放射線治療から
全身療法の変更日、死亡、追跡不能の
イベントで一番最初のものまでの期間と定義。
(要は放射線療法でどのくらい化学療法までの期間が稼げたか?)

2014から2020年の89例の患者が対象。全例腺癌
(EGFR61.8% ALK 28.1%)ROS1 5人 BRAF 3人 RET 1人
OPDとして治療された患者のの75.4%が単一病変だった

病変として多いのは順に脳・骨・肺・リンパ節

(頭蓋内は髄膜播種以外が対象。脳転移が何か所あっても「単一病変」
 としているよう)
PFS1の中央値は10.2ヵ月(95%信頼区間:8.7-13.1)、
Extended-PFSの中央値は6.7ヵ月(95%信頼区間:4.9-8.3)
TKI開始から薬剤スイッチまでの中央期間は18.8ヵ月(95%信頼区間:15.2.-23.1)
PFS2の中央値は4.1か月(95%信頼区間:3.5-6.3)
PFS3/4は5.4/4.6ヵ月
Extended-PFSはドライバー間で差がなかった。
(EGFRは7か月 ALKは6.21ヵ月 ROS1は7.98ヵ月)

単一部位への放射線治療を受けた患者の51.4%は、
次の病勢進行時も1部位のみであった。
進行病変が1か所の場合、それ以上の場合に比べて
次の増悪までの期間が長い傾向にあった。

薬剤変更に至る場合はほとんど5か所以上の転移

脳転移のRT後は脳転移での再発が多い
(ただ、MRIの撮像間隔の差によるものかも、という
 可能性もあると)

遺伝子変異によらず、OPDの放射線治療は有効では?
という結論

問題点としては
・EGFRだからと言ってオシメルチニブを使う
 ALKだからと言ってアレクチニブを使う
 というような現状の日本とは少し違うTKIも使われている
・EGFR/ALK以外は少なすぎて何とも言えない

ただ、TKIが効かなくなったサブクローンに
RTして叩き潰して、TKIの良さをできるだけ
長く享受できるようにする、というのは
(ICIでも)とても理論的にも、現実的にも
有用な作戦と個人的には考えています


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