お勉強451:ADC+ICIの時代がやってくる?

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2312117

今更感はありますが…
EV-302試験。時代が変わった試験でありました。

https://note.com/nijuoti/n/n05b0491acea0

も参考のこと。

未治療の局所進行または転移性尿路上皮がんに
・エンフォルツマブベドチン(EV)とペムブロリズマブ(PEMB)の併用療法
・従来の化学療法(GEM+プラチナ療法)
との比較

886人を442人EV+PEMB 444人ケモ群にランダム化
層別化因子はCDDP適応か、
PD-L1発現(CPS 10 がカットオフ)高い/低い、肝転移の有無とのこと

ネクチン4やPD-L1の発現でセレクションはかけていないらしい
組織がAdやSqとかも除外していないよう
(でも1%ぐらい)

ケモは6コース、ペンブロは3週×35サイクルで終了
EVは効く限りずっと。
患者背景がアジア人が多い。
化学療法群ではアベルマブのメンテナンス療法が58.6%施行。

EV+PEMB群は、化学療法群と比べて
無増悪生存期間(中央値12.5か月vs 6.3か月、ハザード比0.45)
全生存期間(中央値31.5か月vs 16.1か月、ハザード比0.47)
併用療法群の奏効率(67.7%)も化学療法群(44.4%)を上回った。

というOS/PFSともHR0.5切ってくる時代転換大規模三相
サブグループ解析もすべて圧勝。
シスプラチン適応患者とシスプラチン非適応患者の両者で
有効性が示されている

G3以上の有害事象はむしろEV+PEMB群で少ない
irAEは一定数出ている。
EVの副作用で特徴なのは
神経障害、皮膚障害、高血糖
神経障害で治療中断が10%ぐらいいたと。

★ポイント
※これまで、未治療の局所進行または
転移性尿路上皮がんにおいて、
化学療法を上回る治療法は見つかっていなかった。

※アベルマブの維持療法が承認されているが、
そもそも維持療法に行く前にPDになってしまう人も多かった
(とイントロにある。実際のところ4割から5割くらいとの報告と
 書いてあるので、むしろこの試験は
 アベルマブまで行けた患者は多いぐらいである)

※ちなみにかわいそうな話だが、
同時期にGEM+CDDPにニボの上乗せ効果が示されたのだが、
圧倒的にこちらの成績が良く、この試験で完全に蚊帳の外である

※米国では1b-2相のデータで非常に良かったので
迅速承認されていたとのこと
日本も迅速承認と、(ダメだった時の)保険適応解除を
もっと柔軟にやらないとダメだと個人的には思う。

※副作用管理、コスト面での問題は今後の課題。

※ネオアジュバントとして入ってくる可能性も大。
一応画像的なCRは3割ぐらい出ている。
そうすると当然放射線治療医としては膀胱温存の可能性の
拡大を考えてしまうのである。

※ちなみにEVはnectin-4の抗体薬のADC
(nectin-4は肺がんなどでも発現しているらしく
 同様のストラテジーが通用するかも、と期待されている)

 https://oncolo.jp/news/230922y01

 参考のこと

ADC+IOというコンビレジメンが
今後時代を席巻するかもしれません…
という意味でも記念碑的試験かも。



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