お勉強144:肺がん心臓ネタ:まとめ

<結論と今後の方向性>
胸部放射線治療は、炎症性経路を介して
様々な心臓障害を引き起こすことが知られている。
一般的に複数の合併症を持つ肺癌患者は、
胸部放射線治療後の心イベントや早期死亡のリスクが高い。
放射線誘発性心臓毒性の理解を深めるためには、
いくつかの問題に取り組む必要がある。

第一に、合意された心臓アトラスと強固な品質保証を用いた、
肺癌患者を対象とした前向きで十分な検出力を持つ研究が必要である。
心臓毒性に関する既存の文献の主な限界は、
発表された研究のほとんどが小規模で、
レトロスペクティブで、ほとんどが単施設の研究であり、
エンドポイントが様々であることである。
さらに、既往の心疾患、併存疾患、放射線治療技術、
化学療法の使用など、試験集団に大きな違いがあるため、
結果も異なる。
さらに、施設間でデータをプールすることで、
心臓の線量制限や心臓毒性を予測する因子を特定するための
力を高めた適用可能なモデルを作成することができる

第二に、心臓の各々の構造に対する
放射線量の影響をよりよく理解することが必要である。
現在、肺がん患者の日常的な評価には心エコー、
電気生理学、心臓灌流の研究が含まれていないため、
このような影響を評価することは困難である。
そのため、循環器内科医と協力して、
血液や心臓画像のバイオマーカーと転帰との
相関関係を前向きに調査する必要があります。現在、前向きの研究が進行中です

最後に、MRガイド下放射線治療やPBTなどの
高度な放射線治療技術を調査するための
質の高い前向き研究が必要である
のような研究では、胸部放射線治療を受けた
肺がん患者の転帰に対する心臓温存戦略の効果を理解するために、
心臓のエンドポイントやバイオマーカーを含めるべきである。


<nijuotiの個人的まとめ>

肺がんはRTOGの反省から、心有害事象を
いかに避けるか、というのが流行りになっています。
個人的には食道がんのCRTでも話題になる日は近いと思っています。

病理学的にはMRI等の画像のデータを以前紹介しましたが

心臓を照射することで
・心筋は繊維化する
・食道がんの剖検データなどから心膜も線維化するとのこと
ということもあり、ほかの晩期有害事象のデータも
含めると、「線維化」がメインのポイントですが、
ホジキンなどのデータを見ると
弁膜症もあり、こちらは石灰化と関係あるようです。

重要なのは、乳がんやHodgkinで話題になっていた
「心臓有害事象は晩期有害事象」
という考えは結構違いそう、ということです。

われわれができることとしてはIMRTと深吸気照射
ぐらいですかね…

食道がんにはプロトン期待していますが、
肺がんはロバストネスがあるので、そう簡単では
ないかもしれません…

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