お勉強284:283の続き、肛門管がん編

肛門管がん話。
肛門管がんは今はCRTが標準治療だが、
治療後の直腸・膀胱機能を患者目線から
調べたアンケート(いわゆるPRO)からの解析。

一般論として多くの放射線治療医は
(放射線治療医に限らず、だが)
症状に集中しすぎて患者さんの生活における
QOLに対してしっかりヒアリングできておらず
PROをとると、大概医療者評価より悪い結果のことが多い。

今回はいわゆる3D時代からIMRT時代に
変わったことを背景として
肛門管がんのIMRT後の直腸・膀胱機能についてのPROを
肛門管がんサバイバーにPROをとって調べてみた、
という論文。

GTVに対する処方線量は
50 Gy 24%
54 Gy 53%
58 Gy 23%
であった。

排便機能に関しては結構悪く、
多くの患者が我慢が効かないとか、切迫感を感じると回答
(いわゆるLARS:Low Anterior Resection Syndromeのスコアで
 異常なしが14%、マイナーなものが25%、61%がメジャー)

排尿障害はそれほど強くは無いよう
(年齢に比してのものとそれほど変わりなかったと)
ただ、女性は大腸癌での手術症例よりは悪かったと
(尿道がもろにあたるから?)


排便機能に関連する線量指標としては
小腸のV30やboweal bagのD1%
が関連しているようです。

(T Stageや肛門の最高線量はあんまり関係していないよう)

排尿障害に関しては膀胱のV40が関係あるよう。
男性・喫煙・T Stageが関係していたよう。
直腸・膀胱障害がある人は当然ながらQOLも悪い。
結論として対応策としてはは

・膀胱をしっかり膨らまして膀胱V40、腸管の線量を下げよう
(エコーやCBCTでの確認が望ましい)

・pointでも高線量は避けよう

という感じらしい。

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