お勉強415:センチネルリンパ節生検はどこまで必要か?

お勉強

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2809872


センチネルリンパ節生検(SLNB)は、
果たして必要か?という話。

SLNBは早期乳がん患者の
「ステージを確定し、必要な治療を選択する」
という意味での同意はあるが、
「果たして治療的な意義はあるのか」
となると疑問符が付く。
(というのが、現状らしい)

SLNB陽性でも、放射線治療、術後療法すれば
予防的腋窩廓清は必要ない、
というデータはそろってきている。
そこで、
早期乳がんで、術前の腋窩リンパ節超音波検査が陰性の患者
で腋窩手術の省略(センチネルもしない)がSLNBと比較して
非劣性であるかどうかを調べる試験
SOUND試験(Sentinel Node vs
Observation After Axillary Ultra-Sound)

イタリア、スイス、スペイン、チリで実施された
前向き非劣性第3相ランダム化臨床試験。

2012年2月6日から2017年6月30日の間に、
腫瘍径2cmまでで、術前の腋窩超音波検査の結果が陰性の
(一つだけ怪しいのがある場合は、FNAして陰性なら許容)
1463人の女性が登録。(年齢制限なし)
うち1405例がintention-to-treat解析の対象。

介入 対象患者をSLNBを受ける群(SLNB群)と
腋窩手術を一切受けない群(腋窩手術なし群)に
1対1の割合で無作為に割り付け

本試験のプライマリーエンドポイントは
5年後の無遠隔生存率(DDFS)、
intention to treatとして解析。

副次的エンドポイントは、
遠隔再発の累積発生率、
腋窩再発の累積発生率、
DFS、OS、および術後補助療法の推奨。

intention-to-treat解析に組み入れられた
1405人の女性:年齢中央値、60歳
708人がSLNB群に、697人が腋窩手術なし群にランダム化

全体として、腫瘍径の中央値は1.1cmであり、
8割が閉経後もしくは閉経しそうな女性
1234例(87.8%)が
エストロゲン受容体陽性、HER2 negative乳がん。
PgR-は15%程度、Ki-67 20以上は35%程度
RTは98%ぐらい受けている。
(一割ぐらいIORTを受けている)
ER+ならホルモン療法は98%ぐらい受けている
ケモはアジュバントで2割ぐらい受けている

SLNB群では、97例(13.7%)が腋窩リンパ節転移陽性。
→予防的廓清をうけたそう
病勢評価の追跡期間中央値は、5.7年。
5年遠隔DDFSは、
SLNB群で97.7%、
腋窩手術なし群で98.0%であった
(log-rank P = 0.67;ハザード比、0.84
 90%CI、0.45-1.54;非劣性P = 0.02)。

SLNB群では
12例(1.7%)の局所再発、
13例(1.8%)の遠隔転移、
21例(3.0%)の死亡が観察された
腋窩手術なし群では
11例(1.6%)の局所再発、
14例(2.0%)の遠隔転移、
18例(2.6%)の死亡が観察された

非劣勢が証明

SLNBで13.7%リンパ節転移があったが
省略群で腋窩再発は5年で0.4%と低値であった
やはりRTで十分か。

RTや補助療法は受けることは前提で
術前USでnegativeで
Luminal Her2 negative typeなら
(この試験ではそれ以外は少ないので…)
SLNBすらいらんという結論か。

薬物はてんこ盛りに進んでますが、
手術はどんどんdeーescalcationが進みますね。


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