お勉強398:頸部食道がんに予防照射は必要か

https://ro-journal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13014-023-02332-2

頸部扁平上皮食道がんでENIとIFRTとを比較してみた、という論文
ステージングは身体診察、内視鏡、バリウム検査、CT
PETは必須ではない(筆者の地域では保険適応ではないらしい)


照射は3D-CRTもIMRTも入っている。
6MVでの治療 PSは1まで。
ENIは下咽頭浸潤があっても舌骨まで
照射はD95処方で50~66Gy(1.8-2GyFr)
ケモは5-FU+CDDP/パクリタキセル+CDDP/S-1
コンソリデーションは許容

フォローはケモラジ終了後6週、
二年までは3か月ごと、以降は五年までは6か月ごと
5年後は一年ごと。内視鏡・CT・バリウムが基本
頸部・鎖骨上LN腫れてきたらFNAする

両者比較にプロペンシティースコアマッチング(PSM)
因子は性別、年齢、PS、cTNM、線量

適合患者は131例で ENI60例 IFRT71人
PSMすると各群49例
PSMしてもIFRT群が高齢多かった。
両群合わせて3DCRTした人はたった8.4%

サクッと結論を言うと、PSM前もPSM後も
ENIがほんの僅か上のようにも見えるが
統計学的有意差は全くなし

CCRTの全体の治療成績として
MST 44か月 1/3/5/8年生存率は 87.8/55.1/38.3/27.2%
とやはり厳しい疾患であるのは事実。

OSに影響していた因子は(PSM後)
cNと性別。
MSTは男性29.1か月 女性50.8か月
cN0/1/2-3でMSTは 44.8か月、60.1か月、20.2か月
60Gyで線量を分けても生存は変わらず。

悲しいことにENI群のほうが領域再発多いが、
照射野外の再発がほとんど。(照射野内再発は1例)
バイアスの可能性は大きいか。
局所領域再発に対しては8割ぐらいがCRTを受けている

有害事象に関しては当然だがENIが多い傾向
(白血球・好中球減少)

パワー不足、というのは簡単だが
そもそも頸部扁平上皮食道がん自体が
希少疾患であり、この試験の結果からはIFRTを選ぶのもいいのかな、とも思う。

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