お勉強115:ESMO-ASIA III期肺がんガイドライン

https://www.annalsofoncology.org/action/showPdf?pii=S0923-7534%2819%2936083-1

ESMO-ASIAでのIII期肺がんのガイドライン
推奨レベルなどは省略。

※局所領域の病期分類とリスク評価
1a. 非転移性NSCLCでは、
  TNM病期分類8版に従った詳細な局所領域病期分類と
  患者の心肺機能によって治療法の選択が決定される
1b. 部分的な固形腫瘍の場合は
 (GGO+solid conpornentと思われる)
  浸潤成分の大きさを用いてT分類を決定すべきである
1c. 固形部病変では、肺病変の構成を評価するために
  放射線学的専門知識が必要である
1d. 2つの肺病変が2つの原発性腫瘍の基準を満たしている場合は、
  それらをそれぞれ評価し、それに応じて治療すべきである
  (肺転移か、二重癌かということを評価せよ、
   ということと思われる。特に二つの腫瘍の画像的様相が
   異なる場合は行うべきとの事)
1e. CTやPET画像検査後に縦隔リンパ節や肺門部リンパ節に
  異常が認められた患者にはまずは
  外科的病期分類よりも
  内視鏡検査(EBUSやEUS)が推奨される
1f. 疑わしいリンパ節の病理学的確認のための好ましい
  最初の手技は、
  EBUSまたはEUSガイダンスの下での針吸引である
1g. 臨床的に強く疑わしいリンパ節が
  EBUSやEUSで明らかにならない場合は
  状況に応じて縦隔鏡検査を行う
1h. 縦隔リンパ節病変を除外するために、
  最も陰性的中度が高い検査は縦隔鏡検査である
1i. MRIによる脳転移のスクリーニングは、
 治癒的治療を検討している患者に有用

  (かなりN2を慎重に判断せよ、という印象です。
          日本で縦隔鏡を積極的にステージングに使っている
     施設ありますかね?臨床試験ならありえそうですが)


※局所所進行性切除不能患者(III期)の治療
2a. III期NSCLCの根治的治療を予定しているすべての患者は、
  理想的には治療開始前4週間以内に、
  胸部と上腹部の造影CTスキャンを受けた後、
  初期の病期分類の目的で検出可能な胸部外、頭蓋外への
  転移を除外し、
  縦隔リンパ節転移の可能性を評価するために、
  PETまたは十分に高解像度のCTでの
  PET-CTを受けるべき
  PET陽性の単発遠隔病変は病理学的確認が必要
  特に切除可能性の判定のために、
  集学的評価を行うことが推奨される
2b. 治療を予定しているIII期のNSCLC患者は、
  初期病期分類のために脳画像検査を受けるべきである
  III期病期の脳の病期分類には、
  造影脳MRIが好ましい方法である
  MRIを行うことができない場合は、
  造影脳CT検査を行うことを推奨する
2c. 切除不能と評価されたIIIA期、IIIB期の患者は、
  同時CRTが推奨される。
  何らかの理由で同時CRTが不可能な場合は、
  逐次化学療法に続いて根治的RTを行うことが
  有効な代替療法である
2d. III期のNSCLCではPCI(予防的頭蓋照射)は無意味である
2e. 禁忌がない場合、III期NSCLCにおいて放射線と併用する
  最適な化学療法は、シスプラチンまたはカルボプラチン
  ベースの化学療法である。
  III期病変の70歳以上の高齢患者の場合、
  カルボプラチン単剤と放射線の併用を検討してもよい
  (JCOGの試験が根拠と考えられる)
2f. CRTの併用化学療法としては、
 シスプラチン+エトポシド
  シスプラチン+ビンカアルカロイド
 (典型的にはシスプラチン+ビノレルビン)
 非扁平上皮癌の場合はシスプラチン+ペメトレキセド
 がよく使用されている、
 アジアでは、プラチナタキサンレジメンを用いた
 比較第III相試験がある。
2g. 治療に化学療法が含まれる場合
  2~4サイクルの化学療法を放射線と併用すべきである
  導入化学療法やコンソリデーション化学療法の
  エビデンスはない
2h. 放射線治療としては
 1日1回 30~33Frで合計60~66Gyを
 投与することが推奨される。
 全体の治療期間は最大で7週間を超えてはならない
 加速照射などでより強度の強いRTを行うことは
 CRTでは標準的な方法ではない
2i. 一方、導入化学療法→RTの場合は
 短い治療時間でRTを行うことが推奨される

3a. 免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブの
  化学放射線療法終了後1日から42日後までに投与
 (10mgkgを2週間ごとに最大1年)は、
  III期の切除不能NSCLCにおいて生存期間の延長効果が
  実証されており、推奨される

※フォローアップ(基本的にはっきりした共通見解は乏しい)
4a. 根治的意図で治療したNSCLC患者は、
  治療関連の合併症、治療可能な再発の検出、
  または二次原発性肺癌の発生について
  フォローアップを行うべきである
4b. 2 年間、6 ヵ月ごとに、少なくとも 12 ヵ月目と
  24 ヵ月目に身体検査、造影胸部 CT スキャンが推奨される、
  その後は、二次原発性腫瘍や遅発性再発を検出するために、
  身体検査、胸部 CT スキャンを含む年 1 回の受診を推奨する
  患者は、最初の1年間は放射線毒性の管理のために、
  より頻繁な臨床フォローアップが必要な場合がある
  (放射線肺臓炎のフォローのことを指していると思われる)
4c. 救済治療が可能と思われる
 (例えば、手術、局所療法)患者は、
  3年間の6ヵ月ごとのフォローアップ検査が推奨される
 救済治療に適さない患者では、フォローアップの頻度は
  個々の患者に合わせて調整することができる
4d. PET上の偽陽性所見が多いため、
 サルベージ治療を行う場合、
 可能な限り生検を行うべきである
4e. NSCLC患者には、治療成績の改善のため、
  禁煙を指示すべきである。
  行動療法と薬物療法を組み合わせることが
  好ましいアプローチである

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?