お勉強407:東大から手術vsSBRT

東京大学から。
I期のNSCLCに対するSBRTと手術の生存比較

2012年から2016年の間に
手術またはSBRTを受けたI期NSCLC患者を、
レトロスペクティブに解析登録した。
Kaplan--Meier法とCox回帰モデルを用いて、OSを比較。

538例のうち、手術群が443例、SBRT群が95例。
SBRT群は合併症が多く(P = 0.01)、
パフォーマンスステータスが悪く(P = 0.001)、
高齢であった(年齢中央値80歳vs.70歳:P < 0.001)。

基本的にはCT/PET/頭部MRIを撮影するよう

SBRTはD95処方
55Gy/4Fr(56例)
50Gy/4Fr(28例)
中枢は
56Gy/7Fr(9例)
60Gy/8Fr(2例)
とのこと
(時期とともに線量増加したよう)
11門のノンコプラナー照射かVMATで照射
4DCT撮像でITVに5㎜マージンでPTV
6-10MVを使ったと

9.5%でリンパ節生検あり。SBRT群の6.3%のみ手術可能だったと

手術は基本葉切(340例)だが、区域切除(27例)
楔状切除もT1aでは行っていたと(75例)
1例全摘
手術でN+なら術後療法、UFTもTStageでやっているよう。
術前組織なしで、手術中生検で陰性なら閉じる。
この症例も検討に入れている。
(SBRTでも組織ついていない症例も入っている)

フォローはまず治療後2~3か月後
2年まで3か月ごと以後5年まで6か月ごと

観察期間中央値SBRT38.4か月、手術47.6か月で
3年OSはSBRT後70.5%、手術後90.1%であった。
3年がん特異的生存率と無病生存率、局所制御率は、
SBRT、手術後でそれぞれ
92.7%対92.3%、
61.1%対79.3%、
85.6%対90.1%であった。(有意差なし)

SBRT後および手術後の
3年局所制御率および遠隔制御率は、それぞれ
85.6%対90.1%、
82.5%対86.4%であった。

OSの多変量解析(年齢、ステージ、CCI、C/T比、治療法)では、
手術群のOSがSBRT群のOSよりも有意に優れていた
手術に対するSBRTのHR:1.90、
95%CI:1.12-3.21、P = 0.017。
という結果(ほかにC/T比、CCI)

※C/T比は
肺結節における充実部分とすりガラス影を含む結節の
最大径の比:低いほうがすりガラス影主体

有害事象はG3の比率は変わらない(どちらも1%)
SBRTでは1例出血ありと

SBRT群で背景不利な要素が多く、
がん特異的生存率が一番いい指標なのでは、
と筆者らの考察。

SBRTは総じて安全だが、おそらく中枢照射で出血か。
個人的な感想としては、SBRTなかなか健闘という感じ。
照射法がD95でしっかり線量を入れているのがポイント?

個人的には手術可能群を無理にSBRTに
勧誘はしなくてもいいと思うが、SDMをする必要性は
あるので、情報提供はするべきと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?