お勉強264:放射線治療で、膵癌を免疫'hot'にできるか?

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膵臓がんにはっきり言って免疫チェックポイントは効かない
というのが定説だが、
膵臓がんの新たな治療として、SBRT(15Gy)と
免疫チェックポイントの組み合わせを探索的II相
アームを決める、という趣旨のよう

・SBRT+ニボルマブ
・SBRT+ニボルマブ+イピリムマブ

の二群の候補

対照群は膵癌の診断がついていて、転移があり
1st lineの治療が入っていて、標的病変があり
その部位にSBRTができて、生検ができる
照射しない部位に生検できる病変がある
(バイオマーカーなどを調べるため)
PS0-1の患者。
半数が2ライン以上の治療を受けていた。

1:1に患者を割付し、SBRT15Gy照射日をday1として
(照射部位は原発か転移巣)
・ニボをday1、その後2週おきにどちらも3mg/kg投与
・上に加えてday1にイピリムマブ、その後6週おきに1mg/kg
 投与するレジメン。
PDや耐えられない副作用等になるまで52週やることになっていたらしい。

一応プレI相のように、各群6人でやってみて、その後拡大コホート

プライマリーエンドポイントははSD/PR/CRをみる
セカンダリーエンドポイントはOS・PFS/6ヶ月、一年生存/奏功の深さなど

患者はニボ群41、イピニボ群43
83人がMMR状態が分かっており、ほどんとproficient
ほとんど患者は死んでしまい、80人死んでいる。
観察期間中央値は4.1ヶ月

ニボ群は安全性は問題なく、
最終的に17.1%がSD以上、PRは1名に見られ4.6ヶ月続いた。
PFS/OSの中央値は1.7/3.8ヶ月

イピニボ群も安全性は問題なく
最終的に37.2%がSD以上PRが6名(14%)で
そのうち5名が、多発肝転移で、しかもbulkyであり、
照射野外の病変が5名全員で縮んだとのこと
PRの奏功の深さの中央値は5.4ヶ月
1名すごく効いており、55か月以上生きている人がいるとの事!
PFS/OSに中央値は1.6・3.8ヶ月

副作用は予想の範疇内、とのことだが
副腎不全からの心停止、というのもあったと。

探索的解析では、効果があった全患者でMMR proficientであったとのこと。
PD-L1発現は臨床的有効性とは関係なしとの事
CRPやIL-6が上がる患者は予後不良ということで
何らかの炎症が予後不良なのと関連はあるだろうとの考察

肝転移に対して照射した人の30.8%が臨床的有効性があり
肝以外に照射した人の有効性は15.8%だったとのこと

https://note.com/nijuoti/n/nbdbc436567c7

と関係あるかも。(discussionでも取り上げられている)

結果的にイピニボ+SBRTがより期待できて、
抗腫瘍効果や安全性が示された、ということのよう。
(ただ、SBRTの意義についてはあくまで「?」という考え方ではある)
IL-6を抑えるニボルマブ、イピリムマブ、トシリズマブをSBRTと
併用する、という試験も行う予定との事
(どんだけ金かかんねん…)

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