お勉強458:上咽頭がんの予防照射、どこまで必要か?

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.23.02086

N0-1の上咽頭癌(NPC)に対する(AJCC7thで)
選択的上頸部照射(UNI)を用いた3年間の局所無再発生存率(RRFS)が、
標準的な全頸部照射(WNI)と比較して同等であったことを報告した試験


の続報
5年全生存期間(OS)、RRFS、晩期毒性、および追加解析についての報告
最近JCOはこういった発表済みの臨床試験の
追加解析データを積極的に載せている。

ちなみに
WNI:RPに加えてLevel II/III/IV/VA/VB
UNI:N0なら両側IV/VBは省略 N1なら片側のIV/VBは省略

照射は70/66-70/60-62/54-56 の33FrのSIB
StageII以上はCCRT推奨

UNIの根拠は一般的にNPCの場合ホジキンリンパ腫のように
連続性にLN転移が起こって、skipが少ないということらしい。

中央値74ヵ月の観察期間で
UNI群とWNI群の
5年OS(95.9%対93.1% HR:0.63 [95% CI、0.30~1.35]、P= 0.24)
※差はないが、UNIのほうが結構上に来ている。N1が入ってないからかも
領域無再発生存(95.0%対94.9%、HR:0.96 [95% CI、0.43~2.13]、P= 0.91)
は同等。

遠隔転移なし生存、局所無増悪生存も有意差なし

UNI群の5年無病生存者では、晩期有害事象として

甲状腺機能低下症(34%対48%;P= 0.004)
頸部組織損傷(29%対46%;P< 0.001)
嚥下障害(14%対27%;P= 0.002)
下頸部総頸動脈狭窄(15%対26%;P= 0.043)

の頻度が低かった。

放射線療法後の循環リンパ球数というのを
追加解析しており
UNI群はWNI群より放射線療法後の循環リンパ球数が多かったらしい。
リンパ球数が多いと、遠隔転移なし生存が良好
(そのほかも生存関係は良い方向)

ICIも効いてくれるんじゃね?的な議論有。

リンパ球数や頸動脈狭窄がどのくらい真のイベントに
影響してくるかは今後さらに解析要か

あたりまえだが、非盲検試験なので
後期有害事象の評価には検査値以外は
バイアスが生じる可能性がある。

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