お勉強164:心臓有害事象、放射線だけじゃないよ、という話


https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2779524

乳がんの温存治療時に撮られるCTから
心臓の冠動脈の石灰化を自動的にスコアリング化し、
心血管イベントの発生を予測する、という
なかなかすごい試み。

予想通り、綺麗に層別化。
治療によるものとしては、Boost照射と
アントラサイクリン系の薬剤が心血管イベントに
関連と(放射線治療で話題になる左右は差がなかったみたい)

これで治療をデエスカレーションしたり、
生活指導に力入れたりは今後の研究課題と。

https://meetinglibrary.asco.org/record/200377/abstract

こちらはASCOから。
アントラサイクリン系の有害事象繋がり

Hodgkinリンパ腫でマントル照射すると
乳がんが増える、放射線よくないね、理論は有名。
じゃあ、アントラサイクリン系の影響は?
という解析

5年HL生存者の女性2314人のコホートで、リスクを評価

中央値18.8年の追跡期間の後、
258人の女性が乳がん(DCIS含む)を発症。
30年間の累積発生率は15.0%!!!

まずは、マントル照射を行うとそれ以外の部位を照射
した場合と比べるとHR1.9 で乳がんが増加
骨盤照射したり、プロパカルジン使って
女性機能(卵巣機能)を落とすと、HRは低下

アントラサイクリン系に関しては
累積投与量が200mg/m2を超えたで
HR 1.8で乳がんが増加。
女性機能を落とした患者では、
200mg/m2以上のアントラサイクリンに関連する乳がんの
HRは3.8、しかも容量依存性あり。
(アントラサイクリン100mg/m2当たりHR 1.58、p<0.001)。

Hodgkinリンパ腫は一般的に
発がんしやすいといわれているので
誇張された結果かもしれないが、
小児の治療で放射線治療だけが害悪のように
忌み嫌われて、化学療法はバンバンやる風潮は
なんとなく異論を唱えたい気もあるのです。

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