お勉強345:喫煙と腎がん治療後再発

https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.22.02472


喫煙とがんはいろいろ題材になるが、
今回は腎がんと喫煙の話題

今までわかっていることとして
・喫煙は腎がんの原因の一つ
(腎がん患者の15~20%が現喫煙者)
・禁煙すると腎がんの発生率が下がる(過去の喫煙はそれほどリスクにならないらしい)
という事実は割とコンセンサスだったらしいが、
(生物学的には低酸素と関係もありそうな気もする。
 HIF-VHL経路とか腎がんで有名ですし)
今回は
「腎がんと診断された患者が禁煙すると予後はどうなるのか」
というテーマで調べられた試験from ロシア

試験デザインとしては
・前向きに腎がんと診断された患者で
 喫煙を継続した患者と、禁煙した患者をフォローして
 死亡率や疾患特異的死亡や病状進行の具合を見る、という形式。
 (limitationでもあるが、あくまで自己申告の「禁煙」)

・患者は2007-2016年の患者が対象(一病院のよう)
 ・診断時喫煙者(一日一本以上を診断前一年で吸っていた人)
 ・RCCと組織学的に確定
の212人を観察。
(禁煙する時期はまちまちなので禁煙はtime dependentな
 イベントとして扱ったと統計項目のところにある
 とりあえず読んでもそれ以上は難しくよくわからない)

実際禁煙できた人は4割程度。
結構うまいことできていて、ステージ以外はおおむね同様の分布
8年以上も経過観察

禁煙すると3年後の再発率が24%/6% 5年後が39%/15%.
(一度原文を見ていただくといいが、結構スゴイ差
 気になるところだがステージごとに見ても差は大きい)
いろいろ時間経過なども含めて解析すると
診断後禁煙するだけで50%死亡リスクが下がり、
56%腎がん進行リスクが下がる。
禁煙の利益はサブグループごとで見ても同じであった
(早期だろうと、進行期だろうと)

最近承認されたところだが、
下手に術後ペンブロとかお高い治療よりも
禁煙をエンカレッジするほうが大事かもしれない…
(実際に論文の考察でも同じようなことが書かれている)

肺がんとかでもエビデンスはあるそうだが
「もうがんになっちゃったからやめてもしょーがない」
というおっちゃんたちにはちゃんと説明して
禁煙は重要なので、禁煙外来を紹介するとか
そういう行為のほうが我々にできるcost-benefitな
「治療」なのだと思わないといけないと襟を正す。


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