お勉強414:肝細胞癌、陽子線での治療レジストリ

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37778422/


日本のHCC陽子線治療のレジストリの報告
OS、PFS、局所再発の評価。

2016年5月から2018年7月の期間の
755例登録のうち、
初回の陽子線治療を受け、
重複がんを認めなかった576例を評価。
(一応手術不能か手術やRFAを拒否した患者が対象)

基本的には呼吸性移動に対応するべく
トラッキングやゲーティングを行っている。

男性が3/4ぐらいで、年齢中央値は71歳
5㎝以上が約3割 1割ぐらい照射歴あり
線量は
66.0 Gy (RBE)/ 10frが基本
門脈近接は72.6-76 Gy (RBE)/20-22fr
消化管近接は74.0-76.0 Gy/37~38Fr (RBE)

最終追跡時点で322例生存し、254例死亡。(現病死は162例)
生存者の追跡期間中央値は39ヵ月(0.4-58.3ヵ月)。

576例のOS中央値は48.8ヵ月、
1年、2年、3年、4年OS率はそれぞれ
83.8%、68.5%、58.2%、50.1%であった。

再発は332例に認められ、うち45例が局所再発。
局所再発率は1年、2年、3年、4年で
3.5%,8.8%,10.8%,11.9%

PFS期間中央値は14.7ヵ月、
1年、2年、3年、4年PFS率はそれぞれ55.2%、37.5%、30.2%、22.8%。

多変量解析では
手術適応・PS・Child-Pugh class、門脈腫瘍栓、Stage
がOSに
手術適応・全治療、腫瘍位置、腫瘍サイズ、Stage
がPFSに
腫瘍位置、腫瘍サイズが局所制御に
効いてきていた。
10㎝以上だと3年局所再発2割程度

1年、2年、3年および4年OS率は、
腫瘍の大きさが5cm未満と5~10cm(p<0.001)
および5cm未満と10cm以上(p<0.001)
10㎝以上と5~10cmの間はあまり差なし
Child-PughスコアがA/BとC(p<0.001)、
消化管からの距離が1cm未満と1~2cm(p<0.008)
および1cm未満と2cm以上(p<0.001)で有意に高かった。

最終フォローアップ時点で、
27例(4.7%)にG3以上の晩期有害事象、
(期間中央値4.4か月)
肝不全(n=7)
※純粋に陽子線のみの有害事象とは言えない
(再発とかベースの肝炎などありうると)および
皮膚炎(n=7)が最も多かった。

おしなべて、背景を考えると
良い結果なのではないか、というのが結論。

消化管が近いとやはり線量が入らないのか…

この辺りは施設でもポリシーの差や、
近年出てきたスペーサーでさらに状況は
変わると思われる。


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