お勉強418:頭頚部がんに陽子線治療は有効か?

https://www.thegreenjournal.com/article/S0167-8140(23)89865-6/fulltext

頭頚部SCCに対するIMRTと陽子線治療の成績比較

台湾から。根治的治療(ケモの併用は様々、手術例は×)が対象。
期間は2015ー2019(IGRTは全例で行われていたとのこと)
頭頚部がんのうち
口腔・中咽頭・下咽頭・喉頭・副鼻腔・鼻腔が対象
(上咽頭は入っていない?)

台湾で陽子線治療を実施した3施設と
IMRTを実施した17施設
(医療センターレベル:台湾で最高レベル水準の治療ということらしい)
の患者の比較。
陽子線は69.96Gy/33Frとのこと

潜在的交絡因子の影響を最小化するために、
3:1の傾向スコアマッチングで比較。
(調整因子はめっちゃたくさんあるので略)

結果
60,485例(!!)のHNSCC患者を対象とした結果では
陽子線治療はIMRTよりも
全生存期間および癌特異的生存期間が延長
(と言っても陽子線/IMRTのNは276/60209である…)

局所再発率が低下。
(基本的に陽子線のほうがかなり
 背景が良いので当然な印象)

マッチング後、解析は982例で行われ
陽子線治療は、全死亡、癌特異的生存、および
局所再発の有意な予測因子。
陽子線:IMRTは247:735

陽子線治療を受けた患者は、
IMRTを受けた患者よりも
全死亡(調整ハザード比:aHR = 0.43)
癌特異的死亡(aHR = 0.44)および
局所再発(aHR = 0.61)のリスクが有意に低かった。
遠隔転移は変わらず
K-M曲線ではかなりの差がある…

結論としては頭頚部のSCCに対して
陽子線治療はかなり期待できるかも、ということのよう。
陽子線群が背景も成績もかなり良いのでバイアスはあるのだろうだが
一応、かなりのNの中からうまくマッチングした
IMRT群を抽出できており、差はここまで大きくはないが
ある可能性は否定できない。

副作用が減る、というメリットが案外大きい可能性はある。
ただ、局所再発も減っているのは注目に値する

IMRTと陽子線の比較試験は
・アクセス
・コスト
の問題が付きまとい、なかなか比較試験は難しいので
このような後ろ向きなPSMでも十分に
価値があると筆者らは主張している。

※台湾は頭頚部SCC大国

台湾自体頭頚部SCCの患者は多く、
年齢中央値は55歳(!!)らしい
ちなみに頭頚部がんのリスクとして知られる
檳榔(ビンロウ)は放射線抵抗性を上げるよう
(ビンロウ由来のSCCは放射性抵抗性らしい)
なので、他の地区のSCCと比べ局所再発が多いらしい。


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