お勉強279:デンマークのナショナルデータベースの強さ! 驚異の30年超フォロー

https://www.thegreenjournal.com/article/S0167-8140(22)00133-5/fulltext
(openです)

1982-1990 に行われたe DBCG 82bc studyの
驚異の30年フォローアップの報告
乳房切除後にその当時の全身療法に加えて
PMRTをするか、しないかの差を色々な観点からみている。
時代背景はあるので全身療法はTAM(48週間)や
CMF(シクロフォスファミド、MTX,5-FU)
(9カ月かけて8-9サイクル)である。

患者は閉経前(CMFを加える)
もしくは70歳以下の閉経女性(TAM+CMFを加える)
ハイリスク因子としては
・N+(中央値で7個郭清され、91%が陽性患者。4個以上は31%)
・腫瘍径5㎝以上
・皮膚や大胸筋筋膜への浸潤

手術は全乳房切除+level 1-2を基本とし、
肉眼的に腫大しているリンパ節はすべて郭清。

PMRTは内胸骨リンパ節も含めた照射。
線量は48-50Gy

デンマークは医療制度上フォローアップ体制がしっかりしており
公的なデータベースでフォローアップは移民した人
(その時点でcensoredとしている)以外は
ほぼすべてフォローでmedian follow upは驚愕の34年!!

主結果としては
30年フォローで
60%が再発
24%が局所領域再発
88%が何らかの原因で死亡(62%乳がん、25%他病死)

①30年の累積局所再発率は
RT群9%
RTなし群 37% (HR:0.21 [95% cfl 0.18–0.26]).
②遠隔転移率は30年の時点で
RT群 49%
RTなし群 60% (HR: 0.77 [0.70–0.84]).
③乳がん死は
RT群で 56%
RTなし群 67% (HR: 0.75 [0.69–0.82])
④全死亡は(フォローアップ30年時点で)
RT群で81%
RTなし群で 86%

放射線治療によって対側乳がんは増えず
他がん死や非乳癌死
(一応他がん死、特に肺がん死は優位ではないが増える傾向)
心血管有害事象 も増えず。

サブグループ解析でも基本
局所再発は圧倒的大差ですべてのサブグループで優位。
OSは幅が広いものもあるが、リンパ節が増えるほど、
若年者であるほどOSに貢献

まぁ、デンマークの
ナショナルデータベースのパワーはスゴイ。

現代の全身療法や、照射法はこの当時と大きく変わっており
あくまで参考データとはしつつも
・最初から遠隔転移が存在する、というフィッシャーの
 説だけでなく、局所制御がnidusとなる、転移の形式もあること
 (スペクトラム理論)が示されたこと
・なので、multimodalityで局所再発を防ぐことで
 予後も改善がみられること
がDiscussionで語られている。

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