お勉強137:頭頚部ではCRT+ICI失敗


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33794205/
https://twitter.com/xrtGenomics/status/1376897601866493959

CRTにコンカレントにアベルブマブ+アベルマブ維持
の上乗せがあるかのⅢ相試験
JAVELIN Head and Neck 100

対象は口腔・中咽頭・下咽頭・喉頭
の進行がん
(HPVポジの中咽頭がんはcT4もしくはN2c以上
 もしくはStageIII 以上との記載あり)
試験参加群のおよそ半分が中咽頭。
喉頭、下咽頭がそれぞれ2割程度、という感じ

照射はIMRT SIBでもコーンダウンでもOK
CDDPは3Wごとの100mg/m2

アベルマブは治療後も維持で一年

PETを治療前、治療後3Mに撮る。
生検検体でPD-L1測定
再発後の治療は施設ごとの方針

プライマリーエンドポイントはPFS
(ただし、CRT後140日以内に
 頸部のサルベージ手術を受けた場合はイベントではないよう)

約700名が参加。
両群およそ35%ぐらいが、HPV+
CDDPもRTも両群で達成度は変わりなし

結果としては残念なことに試験は無効中止。
OSもPFSもmedianには達していないが
アベルマブの上乗せは明らかになさそう
(というか、むしろ標準治療の方が生存曲線は上に来ている)
フォレストプロットでは
唯一希望がありそうなのはPD-L1>25%以上で
HRはかなりアベルマブによっている
(というかそれ以外はほとんど標準治療有利気味)
レスポンスは差なし。
有害事象も大きな差はなし


筆者らは
・いわゆる頭頚部に特有の「予防照射」が良くなかった?
・コンカレントが良くない?
等と考察

個人的にはとってもガッカリ、というのは否めない。
優位差はないとはいえ、コントロールのほうが
むしろ良い、というのは悲しい。

ただ、PD-L1での層別化の可能性はあり、それは期待できる。
ただ、全体に対するPD-L1高発現は結構少ないようで
新たな臨床試験は難しいか…

コンカレントがいいのか悪いのかはPACIFIC2で
結論は出るでしょう。

確かに予防照射については考慮する余地はあるか。
いわゆるリンパ節郭清やリンパ節への
予防照射がICIの効果を弱める、という
研究は結構あるし。
かといって免疫療法に大きく期待して
予防照射を省く、というのも
放射線治療医としてはしたくないわけで難しい…

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