お勉強344:GBMコンツールガイドライン

https://www.thegreenjournal.com/article/S0167-8140(23)00201-3/fulltext

ESTRO-EANOのグリブラコンツールガイドライン


<ハイライト>
・GTVは、T1造影を有する腫瘍(生検のみの患者の場合)
及び/又は切除腔とT1残存造影を有する腫瘍(存在する場合)と定義
・腫瘍の広がりを妨げる解剖学的構造
(左右大脳半球で直接接していない構造やテントがある場合などはカット)
 を考慮してGTVの周囲に15mmのマージンでCTV
・CTVに浮腫を含めることは推奨されない
・しかし、T2/FLAIR信号異常は腫瘍である可能性があり、
 CTVに含めることを検討すべき
・IGRTの場合、3㎜以上のPTVマージンは推奨されない

以下細々。

・セットアップはマスク推奨 SGRTできるならopen-face maskも〇
 (閉所恐怖症にはいいだろう)
・2㎜以下のスライス推奨
・flatのpositionを推奨(コンベ時代は傾斜シェルとか使ってたけど)
・手術後の造影MRIとfusionを
・手術後の造影MRIは術後72時間以内に撮影すること
・ただ、形状が変わるのでMRIはCTS前に再撮影を
・RT開始前2週間以内のMRIが必要
・PET/CT、PET/MRIも有効(こちらもRT開始前2週以内に)
・治療用マスクを使用しMRI撮影は有効
・でも、1㎜ぐらいのスライスで普通にとっても〇
・fusionはかなり気を使って。
・頭全体より、局所優先のfusionを
・MRIリニアックならMRIだけで治療計画するのもあり

・ターゲットは3Dで造影T1とT2/FLAIRが重要
・T2/FLAIRは使用に注意が必要
 ※信号は非特異的
 (浮腫・炎症・グリオーシス・術後の虚血を示していることがある)
 ※T2/FLAIRの高信号域をCTVとしてしまうと大きくなりすぎ
 通常脳の被害が大きくなる
 ※しかし、造影されない腫瘍浸潤を示している可能性がある
 ※鑑別ポイント
 腫瘍は→皮質または深部灰白核の浸潤
     脳溝の肥厚と脳溝浸潤、
     脳室圧迫および/または脳梁の肥厚
 浮腫は→自然の白質路に沿う傾向
     皮質を優位
     CSF信号に近い
・perfusionMRIやDWI、MRSはまだ研究が乏しく
有用かもしれないが、ルーチンでコンツールにはまだ使用されていない
・PETも使われるようになってきている
 FDG,メチオニン、FET、FDOPA
・この論文ではFETは使ってもいいのでは、という意見
(以下PETについての議論続くが省略)

・コンツールは以前はGTV+2cmが推奨された
 これは造影部+摘出腔内をGTVとして
 2㎝以内に80%の再発があることが根拠とされている
・近年マージンを5㎜~1.5cmにしても再発率やPFS,OSには
 影響しないというデータが蓄積されている
・小規模のランダム化比較試験でマージンを
 小さくとることで、生存がよくなり、神経毒性が減ったという報告がある
 しかし、患者の偏りや、分子生物学的なデータがないことが
 解釈を難しくしている
・今回はGTVから1.5cmを治療効果と神経毒性のバランスを
 とったマージンとして推奨する

・GTVは、造影T1での摘出腔+(あれば)造影領域とし
 浮腫は含まないものとする
・造影効果は摘出後の梗塞やグリオーシスでも見られるので
 手術直後、手術前のMRIのスキャンをよく見て判断すること
(計画直前のMRIは信用しすぎないこと)
・ターゲットに浮腫を入れることで予後が改善するという
 データは乏しいが、T2/FLAIR変化は腫瘍浸潤を
 示しているかもしれない。
・術後のT2/FLAIR変化は術後の血流変化や浮腫と
 残存腫瘍との鑑別に役立つかもしれない
・結論としては、腫瘍浸潤部と思った場合は入れて、
 そうでない場合は積極的に含む必要性はない
 (含めることで予後が改善するエビデンスがない)
・PETはまだルーチンにはなっていないが、特にFET-PETは
 期待されている
・いわゆるWHO分類で壊死や微小欠陥壊死が含まれないが
 遺伝子異常でGBMと判断されるdiffuseなグリオーマは
(本文や、WHO分類を参照にしてください)
 MRIで造影されないので、GTVは切除腔に加え、
 T1たはT2/FLAIRで高信号として見える残存腫瘍をGTVに含むべき

・CTVは基本GTV+1.5cm
・ある研究ではいわゆる脳室周囲の幹細胞存在領域と言われている
 部分を含むことで予後が改善されたことが報告されているが
 これはまだ追検証が必要である。
・今回はCTVにこれらの領域は含まないよう推奨する
・頭蓋骨・脳室・脳級・小脳テント・キアズム・脳幹などは
 マージンから削除、もしくは縮小。白質からの脳神経投射
 部位(中脳など)は含む
・脳梁、大脳および小脳小梁は含む
・上記の「分子生物学的GBMでもマージンはGTV+1-1.5cmを推奨
 上記構造物を外すのも同様

・重要なOARとしては視神経、キアズム、レンズ、眼球、脳それ自体、脳幹
 などを含む。PTVを忖度することも要考慮
・そのほか考慮すべきOARとしては、蝸牛、涙腺、下垂体、視床下部、海馬
 これらは線量制限をかけるべきだが、PTVは削らない
・海馬に関しては近年重要視されているがGBMのデータはない
・両側の海馬スペアは(侵されていないのならば)
 大きいコホートスタディーで安全とされている
・low grade gliomaの研究では2Gy/Frで両側海馬の40%が
 7.3Gy以上となると長期記憶が18か月後に悪くなると報告している
・このモデルは不正確ではあるが、7.3Gyというのは
「強固なエビデンスではない」
・しかし、同側は難しいとしても可能な限り線量低減はすべきと推奨された
・脳に関しては「全体ーGTV」をOARとするべきと推奨
・脳に関しては明らかな線量製薬の閾値はないがV30/40/45Gy
 などの線量制約は提唱されている
・OARにマージンを付けたPRVの作成が特に視神経領域や脳幹で
 推奨されている。

・IGRT、6軸補正、マスク使用を推奨。
 SGRTもリアルタイムモニタリングとして期待
・PTVマージンは施設ごとに設定されるべきであるがここでは3㎜を推奨
・2ー5㎜は施設のレベルに合わせて許容
(2㎜でも3D-CRT時代の広いマージンと
 結果が変わらないという報告もある)

・3DCRTが長らく使われてきたが、
 IMRT/VMATが広く使われるようになってきている
・放射線治療の方法・ケモの有無・Frでコンツールを変えるべきではない
・粒子線治療はIMRTに優位性を示せていないので今回は推奨せず

・処方に関してはICRUガイドライン50/62/83を参考のこと
・RP処方であればPTVのV95が95%doseになるようにする
 D2%は107%以下になるように
・criticalなOARはPTVのカバレッジを忖度すること
・OAR線量は文中表2を参考のこと

線量分割は
・若くてfitなひとは60Gy/30Fr+テモゾロミド
・60歳以上はhypo推奨。一般的には40.05Gy/15Fr
 もしくは34Gy/10Fr
・より高齢者やfrailな患者では25Gy/5Frも考慮される
(JCOGで試験が行われています)

<結論として挙げられていること>
・マスクシステムによる固定、1~2mmスライス厚のプランニングCT

・RT開始日から2週間以内に取得した術後MRI
 (±新規MRIシーケンス)とのfusion
 術後72時間以内の術後MRIは切除範囲の評価に使用でき、
 術前MRIは術後画像の解釈に役立ち、
 術前の腫瘍の範囲に関する情報が得られる。
・GTVは、T1造影部(生検のみの患者の場合)および/または
 切除腔と残存造影性腫瘍(存在する場合)
・腫瘍の広がりを妨げる解剖学的障害を考慮して
 作られたCTVを生成するために、
 GTVの周囲に15mmのマージンを3次元でつける
・CTVにT2異常(浮腫)を含めることは推奨されない
・造影されない部位はWHOの新分類で定義される
 分子生物学的な膠芽腫の構成要素である可能性がある。
 このような場合、造影剤増強腫瘍に加えて
 T2/FLAIR信号強度の高い領域をGTV内に含めること、
 およびGTVとCTVマージンを適合または減少させることを
 考慮する必要がある。
・CTVからPTVへのマージンは、
 部門ごとに決定されるが3mmが推奨
 さらに高精度のIGRT技術を採用すれば、
 これを減らすことが可能
・標準的な線量は2Gy分割で60Gy。
 高齢者の場合は、低分割スケジュールを標準とみなすべき
 標的は変化させないこと

個人的な感想としては
GTV/CTVは縮小の方向なんだなぁと思わされました。

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