お勉強255:PACIFICにさらに上乗せ?

出来立てほやほや論文。COAST試験。
面白そうなのでさっそく読みました

https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.22.00227

CRT後イミフィンジ、というのはPACIFIC試験後
5年以上のフォローアップも出て、完全に実臨床に
なじんできた。

その上を目指すべく、II相試験を実施
・イミフィンジ単独群
・イミフィンジ+CD73抗体(オレクルマブ)
・イミフィンジ+NKG2A抗体(モナリズマブ)

CD73⇒参照 腫瘍微小環境で働いて、免疫抑制に関することをするらしい

NKG2A→参照 HLA-Eと関係があり、
killer TcellやNK細胞の機能を阻害する免疫チェックポイントらしい。

どちらも照射で増加し、これらを阻害するとさらに
増感効果が出るのでは?ということでこの試験を行ったよう・

PS 0/1
dCRT後進行していない人を 1:1:1に割付(CRT後6週以内)

プライマリーエンドポイントはOverall response

189人を割付 median follow upは11.5ヶ月
全体集団は男性・喫煙者(93.1%) 
扁平上皮がんがこの類の試験では珍しく42.9%もいる。
ⅢAが45.5% 1/3がシスプラチンレジメンで治療され、
9割程度の人が照射後14日以降に治療開始。

ORRは
・イミフィンジ+オレクルマブ 30%
・イミフィンジ+モナリズマブ 35.5%
・イミフィンジ単独 17.9%(低すぎな印象が…)

PFSは併用療法が優位に伸びていた。
(HR:オレクルマブ併用 0.44 モナリズマブ併用 0.42)

12ヶ月PFSは
オレクルマブ併用62.6% モナリズマブ併用72.7% 単独33.9%
(今回の解析ではほとんどこの辺りがテイルプラトー)

併用療法がほぼすべてのサブグループで優位な傾向。

G3以上の有害事象は
オレクルマブ併用40.7% モナリズマブ併用27.9% 単独 39.4%
(一応筆者たち的にはイミフィンジ単独と同程度との解釈)

肺炎は(G3以上)
オレクルマブ併用11.9%(0%)、
モナリズマブ併用4.9%(0%)、
単独 4.5%(1.5%)

治療中止に至った有害事象は3群で15%程度とほぼ同等
(肺炎が一番多い)

併用療法に期待できるのでは?という結論。

以下細々and個人的感想
このレジメンでⅢ相試験(PACIFIC-9)が予定されているとの事
PACIFICで問題になったPD-L1<1%の人は数が少なくて
今回の試験では解釈不能

PACIFIC試験に比べてイミフィンジ単独群の成績が
非常に悪いが、年齢とかステージとか、14日以内に始まった人が
少ないからとか筆者たちはいろいろ言っている。
ただ、全体の患者バランスはほぼ同等で、テイルも
それなりなので、一概にPACIFICと比べて…とは言いづらい。

オープンラベル試験なのでORRは影響を受けるかもしれないが
PFSでここまで大きな差は? PFSも影響は受けるかもしれないが…

筆者たちによるとPD-1/PD-L1阻害に上乗せが出た
免疫療法は(少なくとも肺がんでは)これが初めてで、
今後期待、ということのようです。

実臨床に降りてくるのはまだ先かもしれませんが、
悪性黒色腫のLAG-3
に引き続いてのデータが今後Ⅲ相で出たら、
また面白くなりそうです。

違うがんでイミフィンジでこけたスタディーもこの戦略で
再チャレンジ?

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