お勉強352:PD-L1 1%未満ならPACIFICレジメンは効く?効かない?

https://www.redjournal.org/article/S0360-3016(22)00248-6/fulltext



化学放射線療法とその後のデュルバルマブ補助療法
(PACIFICレジメン)
を受けたステージIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、
programmed death ligand 1(PD-L1)
発現が予後や免疫療法の効果を予測するかは不明である。
※とくにPD-L1発現1%以下では、
その効果の不透明さからヨーロッパでは承認を受けていない。

2017年11月から2021年4月にかけて、
米国の退役軍人病院で、
PACIFICレジメンを行った(デュルバルマブを一回でも投与した)
III期NSCLC患者312人について、治療前の腫瘍PD-L1発現量を測定した。
PD-L1発現を3つのサブグループ
(1%未満、1%~49%、50%~100%)に分け
それぞれの無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を、

2015年から2016年にかけてデュルバルマブのアジュバント治療を受けなかったステージIII NSCLC患者994人と比較検討した。
(この群はPD-L1については不明なのでごった煮)

PD-L1発現は、
1%未満、1%~49%、50%~100%がそれぞれ
34.9%、30.7%、34.3%。
PD-L1発現の増加は、
PFS(調整ハザード比[aHR]、発現の絶対値の25%増加あたり0.84、
   95%信頼区間[CI]、0.75-0.94、P = .003)
およびOS(aHR、発現の絶対値の25%増加あたり0.86、
   95%CI、0.74-0.99、P = .036)
延長と相関

1%未満と50%~100%の間にはPFS/OS有意差あり
1%未満と1%~49%の間にはPFSは有意差はないが、
後者がよい傾向、OSはほぼ同等

デュルバルマブ無投与群と比較して、
PD-L1 50%~100%(aHR, 0.44; 95% CI, 0.32-0.60; P < .001)
PD-L1 1%~49%(aHR, 0.64; 95% CI, 0.47-0.86; P =.003)
でPFSが延長するも
PD-L1 <1%(aHR, 0.84; 95% CI, 0.64-1.10; P = 0.19)と
と1%以下では改善なかった。

OSについても同様の傾向。
PD-L1<1%群ではデュルバルマブの上乗せは認められず。
(aHR, 0.81; 95% CI, 0.58-1.13; P = .22)。

結論として
PD-L1発現の増加は、デュルバルマブアジュバント治療を受けたステージIII NSCLC患者のPFSおよびOSの予後と関連があり
PD-L1発現<1%の患者はデュルバルマブアジュバントによる利益は限定的。

リアルワールドデータでも、こんな感じのようです。
PD-L1発現<1%、EGFRmut+などはPACIFICレジメンに上乗せが必要か…

問題点としては過去のコントロール群はPD-L1ごとのデータではないこと。

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